渋谷区を代表する高級住宅街・広尾。繁華街がなく落ち着いた雰囲気ながら、渋谷・恵比寿・青山・六本木に囲まれた便利なエリアです。
とくに聖心女子大学正門のある高台の広尾2~3丁目エリアは、豪邸と低層マンションが美しく点在するまぎれもない高級住宅街。
東京の高級住宅街をご紹介するシリーズ、今回は渋谷区・広尾をご紹介します。
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外苑西通りの西側は「広尾」、東側は「南麻布」
広尾駅前の外苑西通りをはさんで東側、有栖川宮記念公園のある方面は「港区南麻布」アドレス。日赤病院のある西側は「渋谷区広尾」アドレスです。どちらも「広尾」とされることもありますが、今回は「広尾」アドレス方面にスポットを当ててみました。
【南麻布・元麻布については、こちらの記事をご覧ください】
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下町風情の商店街〈広尾散歩通り〉を抜けて右に折れると、おだやかな坂道に出ます。急に静まり返って、「ここから広尾の高級エリアが始まる…」と予感させる道。まだまだ下町っぽさはあるものの、大きな邸宅も少しずつあらわれてきました。
広尾の一等地は、広尾2~3丁目
さらに坂を上がると、チェコ大使館のある日赤通りに。南に開かれた閑静な住宅街には、車寄せのある大邸宅や低層マンションが並んでいます。
渋谷区はその名のとおり「谷底」の低地が多く、その反面、眺めと日当たりに恵まれた「高台」の高級住宅街が多いことも特徴です。そのひとつが広尾2~3丁目。とくに広尾3丁目は第1種低層住居専用地域で、こうして歩いているだけで澄んだ気持ちになるくらいキレイな街なみです。
通りの一角には聖心女子大学があります。重要文化財となっている旧久邇宮邸の正門と、その向こうにあふれる緑がとても情緒的。そのお隣は日本赤十字社医療センター。大きな施設が2つもあると街がごちゃごちゃしそうなところ、広尾はまったくそれがありません。
大使館や外資系企業に勤める外国人向けに、家賃が月200万円以上の高級賃貸が多いのもこのエリア。どの物件も外観から突き抜けたかっこよさがあり、すごく高級なんだけれど、傲慢さを感じさせないデザインが素晴らしいです。
高台の心地よさやインターナショナルな雰囲気は、南麻布の高台と似ています。港区アドレスにこだわる方は「南麻布」、アドレスなんか気にせず便利で素敵な街に住みたい!という方は「広尾」といったところでしょうか。どちらを選んでも満足できることだけははっきりしています。
広尾の2大マンション〈広尾ガーデンヒルズ〉〈広尾ガーデンフォレスト〉
広尾であまりにも有名な2つのマンション、〈広尾ガーデンヒルズ〉と〈広尾ガーデンフォレスト〉。この2つのせいで、他のマンションの存在が控えめに思えてしまうくらいです。
すでにご存知の方も多いと思いますが、復習の意味を込めてご紹介します。
広尾ガーデンヒルズ
1982年に分譲をスタートした〈広尾ガーデンヒルズ〉。今の渋谷区で考えられないくらい広大な敷地、緑の合間にハイグレードなマンションが15棟。
指名買いが多く、築40年を超えた今でも高値で取引されるほど優秀なヴィンテージマンション。またガーデンヒルズ内で住み替える方も多いため、よい部屋はすぐにすぐに売れてしまいます。
逆に言うと、広尾でヴィンテージマンションを探すとなるとほぼ〈広尾ガーデンヒルズ〉一択になる可能性も。(ホーマット、ドムス、広尾シティハウスなどがあるものの滅多に売りに出ません)「ヴィンテージマンションに住みたい」という方は、麻布、赤坂、青山エリアまで広げると、選択肢が多くなります。
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広尾ガーデンフォレスト
広尾ガーデンヒルズの隣に建つ、2009年分譲の〈広尾ガーデンフォレスト〉。2063年までの定期借地権にかかわらず、販売時よりも価格が上昇しているという異例のマンションです。人気が高いのは広尾ガーデンヒルズを継承したゆたかな敷地と植栽、それに加えたセキュリティー体制にあります。
24時間体制で守衛がいるゲートセキュリティー、ゲート通過後もICカードによるセキュリティーチェックなど、広尾ガーデンヒルズにプラスαの快適性を与えています。
各棟の住人は植栽ゆたかな中庭を通って、ゲートへ向かう動線です。ちょっとしたお散歩ならこちらを散策するだけで十分なくらい素敵な中庭です。
定期借地権ゆえに、この立地とグレードに対しての割安感があります。資産性よりも「今、家族で心地よく過ごせる家」を求めており、「子供に相続するつもりはない」「いずれは住み替える」という方には、おすすめしたいマンションです。
広尾にはまだまだ名建築マンションが点在
上記の2つが目立っていますが、広尾には素晴らしいマンションがたくさん点在しています。個人的に「かっこよすぎる!」と思ったマンションをご紹介します。
クロイスターズ広尾(広尾2丁目)
チェコ大使館のすぐ近く、施工・分譲ともに鹿島建設。そんなサラブレット的なマンションが〈クロイスターズ広尾〉。
ファサードはベージュのタイル張りでインペリアル的な品を感じさせますが、エントランスはかなり攻めた感じ。庇がせり出し、アプローチ階段を降りていくと水盤が広がっています。ここには空や雲、夜にはときどき月が映り込むなど、贅沢な余白が設けられていました。
もちろん地下駐車場で、全17邸に対して21台分を確保。高級車を数台所有するオーナーに配慮されています。残念ながら空き物件はないのですが(2021年3月現在)、鹿島建設がこれほど美しいマンションを建てたという事実からも、広尾が都内屈指の価値あるエリアということがわかります。
ザ・パークハウス広尾羽澤(広尾3丁目)
日赤通りから恵比寿方面の傾斜を下っていくと、こんもりとした緑溢れるマンションがあらわれます。約3000坪の羽澤ガーデン跡地に建てられた〈ザ・パークハウス広尾羽澤〉です。
高台ではなく、恵比寿と広尾の間の谷底に建っています。しかし角地・東南傾斜で日当たりが抜群によいので、デメリットに感じません。むしろ大通りから奥まっているのでより閑静で恵まれている印象です。
この土地は大正4年、満鉄総裁・中村是公が私邸を構えた場所(夏目漱石の親友…というと親しみがわきますね)。和洋折衷の粋を尽くした邸宅は、戦後は料亭・レストランとなり、2014年、三菱地所によって〈ザ・パークハウス広尾羽澤〉が建てられました。
文壇や建築界からは建て壊し反対の声があったものの、赤松、椎、木斛といった樹齢を重ねた既存樹や暖炉、こけむした石畳などをそのまま残し、羽澤ガーデンの面影を感じさせる高級マンションに生まれ変わっています。
広尾の暮らしやすさは?
■日用品は広尾駅周辺、大きな買い物は恵比寿や六本木へ
普段の買い物は広尾プラザ内の〈明治屋〉か、有栖川宮記念公園横の〈ナショナル麻布スーパーマーケット〉へ。公園前の〈エノテカ広尾本店〉では上質なワインがいつでも手に入るので、急なゲストが来ても安心です。
大きな買い物なら、表参道や恵比寿、六本木へ。広尾駅は日比谷線しか通っておらず駅前ものんびりした雰囲気ながら、ちょっと足を伸ばせばで主要な街に行けることがメリット。静かな住環境の中で「いいとこどり」をしているイメージです。
冒頭でお伝えしたように、駅前には昔ながらの商店街があります。ドラッグストアや日用品店が揃っているので、ちょっとした買い物はこちらで済ませる方が多いようです。
2020年3月、駅前の交差点に突如あらわれた煉瓦造りのパン屋さん〈Truffle BAKERY〉は個人的に強くおすすめ。広尾に住めばはいつでも焼きたての『白トリュフの塩パン』を食べることができるのです。
商店街には昨年〈ブルーボトルコーヒー〉もオープンしていますし、飲食店にはかなり恵まれています。休日の朝はパンとコーヒーを買って有栖川宮記念公園を散歩…というのもいいですね。
■名門私立は徒歩圏内、人気の公立小学校も
慶応幼稚舎、麻布中学、東京女学館などの名門校は徒歩圏内。インターナショナルスクールも点在しているため、レベルの高い学校に通わせたいご家庭にはぴったりなエリアです。公立小学校は、人気の臨川小学校と広尾小学校が学区です。
まとめ
広尾に住む方は、ただブランドイメージだけで選んでいるのではないことがわかります。静けさ、街の開放感、美しさ、建築物のデザイン…利便性も含め、ほとんどパーフェクトに近い街です。
それよりも何よりも、街にただようゆったりとした空気感。まるで上流階級で育った淑女のように包み込むような優しさをたたえています。「どうぞ、ソファに座ってリラックスしてくださいね」と、ささやかれているような気分です。これは松濤や田園調布にはない、独特の雰囲気です。
広尾ってどんな場所? と思ったら、まずは広尾2丁目~4丁目あたりを歩いてみてください。広尾が気に入らない方がいたとしたら、街のせいではなく物件に魅力がなかっただけでしょう。
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