「建築家にリノベーションを依頼したら、どんなプランが出てくるんだろう…」
と思ったことはありませんか? たしかに新進気鋭の建築家のつくるプランなら、他にはない画期的な住まいが誕生しそうです。しかし、普通のリノベーション会社に設計をお願いするのと建築家にお願いするのは、具体的にどこがどう違うのでしょうか。
これから、建築家リノベーションの特徴と事例をご紹介します。
そもそも建築家って?
”建築家”と聞くと、隈研吾さんや安藤忠雄さんのような巨匠クラスの建築家を思い浮かべるかもしれません。しかし、設計にたずさわる人は誰でも”建築家”です。建築家と言うのはあくまで「この人に依頼するとスゴそうだな」と思わせる、私たちの一方的なイメージに過ぎないのです。
ただし、〈設計するだけの人〉と〈建築家〉の間には、底が見えないくらい深い溝があることを知っておきましょう。
〈設計するだけの人〉と〈建築家〉の大きな違いは?
設計するだけの人と、建築家にはどのような違いがあるのでしょうか。
以下のようにまとめてみました。
〈設計するだけの人〉は言われた通りのプランをつくり、
〈建築家〉はあらゆる可能性を探る
〈設計するだけの人〉は一辺倒の住まいをつくり、
〈建築家〉は新鮮なアイデアで挑む
〈設計するだけの人〉は見た目だけのデザインに走り、
〈建築家〉のデザインには意図がある
〈設計するだけの人〉のプランは想定内で、
〈建築家〉のプランにはサプライズがある
〈設計するだけの人〉は暮らしやすさを忘れることがあるが、
〈建築家〉はそれを第一条件にする
もはや仕事に対する姿勢がまったく違います。この差はプランに顕著にあらわれているため、2〜3社のリノベーションプランを比べてみると、どなたでも違いがわかるはずです。
建築家リノベーションをやっているところ
〈1〉アトリエ系の設計事務所
新築設計がメインですが、依頼があればリノベーションの仕事も受けてくれることも。ただし〈リノベーションの設計料はどのくらい払うべき?〉でご紹介したように、設計料はやや高め。「どうしてもお願いしたい!」というくらいの建築家と出会えたなら、お願いする価値は十分にあるでしょう。
〈2〉リノベーション専門の設計事務所
デザインやディテールのこだわりが素晴らしい、〈カガミ建築計画〉さん。都心を中心に上質な建築家リノベーションを提供しています。リノベーション専門の設計事務所は数えるほどしかいませんが、カガミさんは間違いなくその代表です。
〈3〉建築家のいるリノベーション会社
〈クラフト〉のように建築家が社内にいるリノベーション会社もあります。30~40代の男女が所属し、ホテルライクからヴィンテージまで多様なデザインに対応。建築家と現場監督がコンセンサスをとりながら、設計施工一貫で丁寧な施工を行っていることも特徴です。
※リノベーションcraftのデザイン事例はこちら
建築家リノベーションの事例
クラフトの建築家リノベーションの事例をご紹介します。空間構成の美しさ、緻密さ、ディテールへのこだわりを感じられるはずです。
〈建築家リノベーション事例1〉 陰影のある白い家
築12年のマンション。白い空間には、モダンアートのように大きく無機質な白い箱が鎮座。中央の空洞には、TVボードと暖炉を納めています。右側はAV機器を納めるのに必要な奥行きで、せり出すように計画しました。それによる凹凸が白い空間に陰影をつくりだし、無機質なのにあたたかく、控えめなのに豊かな表情を感じさせます。
随所に間接照明やスリット、照明ボックスを使用してやわらかな光を投げかけるなど、建築家の細やかな配慮が伝わります。
〈建築家リノベーション事例2〉海辺に浮かぶキッチン
目の前に広がるのは悠然とした海と空。遠くの水平線がクリアに見えると、都心での暮らしがウソのように思えてきます。築4年のマンションをリノベーションしたセカンドハウスです。共働きで平日お忙しいご夫婦が、日常を忘れるための贅沢な空間です。
LDKには、大きなアイランドキッチンをレイアウト。背面はビルドインタイプの収納で生活感を排除すると同時に、暮らしやすさを高めています。天井にはイタリアンスタッコを塗り、窓の景色が室内へ流れ込むようなイメージをつくりました。LDKと玄関ホールの間は、ガラスの間仕切りとFIXドアに。玄関を開けた瞬間、抜けるように開放的な空間があらわれるというサプライズです。
〈建築家リノベーション事例3〉面と光で構成した地下室
地下一階のプレイルーム。一部の壁をフカして内側に照明を入れ、大空間にリズミカルな立体感をつくりました。天井も一部下げ、格子から光がこぼれるように計画。縦横に行き交う繊細な光のシルエットにより、スタイリッシュな表情が生まれています。
実はフカした壁の後ろにはTVの配線、下がり天井の中にはエアコンの配管が通っています。見せたくないモノを隠しながら、デザインとして取り入れる。ただ隠すのではなくデザイン性をプラスし、デメリットをメリットに変えてしまうのが建築家です。
床は大理石のトラバーチン、壁は割肌の石、バーカウンターにはサイルストーンを使用。上質な素材感が、大人の遊び場にふさわしい重厚感を与えています。
まとめ
建築家リノベーションをご紹介しましたが、いかがでしょうか。
面の重なり、光の陰影、整然としたたたずまい。空間そのものが美しく「余計な装飾や家具はいらない」と感じさせる空間こそ、建築家のリノベーションだと思います。
ただ美しければよいわけではありません。そこは人が暮らす場所であり、家族が思い出を育み、歴史を刻んで行く場所です。だからこそ暮らしやすい生活動線や、居心地をよくする通風・採光、収納計画にも配慮する必要があります。
1つひとつの住まいと真剣に向き合い、一本の線を引くのに躊躇したり、あるいは確信したりしながら図面を描いていく。そうして住まう人に、驚きと興奮をプレゼントするのが建築家リノベーションなのかもしれません。
デザイン性、居心地のよさ、暮らしやすさを考慮し、ワンランク上の住まいをご提案。想像以上のプランによって、洗練された暮らしをお約束します。