アウトドアインテリアの人気とともに、注目を浴びているブランドがあります。
オリジナルのアウトドアファニチャーを展開するINOUT(イナウト)です。
テーブルや椅子といった家具からコーヒードリッパーまで、どれも〈家でも外でも使える〉というもの。企画から販売まで自社で手掛けるオリジナル商品は、「自分たちが欲しいと思ったものをつくった」と話すオーナーの小林卓さん。
自らもキャンプ歴15年という小林さんに、アウトドアインテリアを語ってもらいました。
家の心地よさをを、外に持って行く
ー本業はアパレルの店舗設計だとおうかがいしました。それなのに、どうしてアウトドアの家具をつくろうと思ったのですか?
小林さん(以下K):スタートは本当に個人的なことなんです。もともとキャンプによく行っていたんですが、そこでただ椅子に座って、コーヒーやお酒を飲みながら仲間たちと語らう。そういう楽しみ方をしていたんですね。でも、普通のアウトドア用の椅子って、正直座り心地がよくないんですよ。それにかわいくもない。たしかに雨と汚れにも強いし、持ち運びがしやすいというメリットもあるけど、長時間座っていたくなるような代物ではありませんでした。
『せっかく自然のなかにいるのに、家具のせいでリラックスできない。…じゃあ、つくっちゃう?』と生まれたのが、INOUTの家具です。家の中のくつろぎを、そのまま外に持って行くようなイメージですね。
ー『いつも使っている枕じゃないと眠れない』という人もいますし、なんだか気持ちがわかります。それにしても、”自分たちのためにつくった”というのが始まりだったんですね。その後、実際にショップをオープンすることになったのは?
K:もともとの事務所は原宿にあったんですが、古くて趣のあるビルに引っ越したくなったんです。そんなときに見つかったのが、こちらのビルでした。だから東日本橋というのは偶然ですね。今でこそクリエイターたちが集まる面白い街になってきていますが。
最初は2階を設計事務所として使っていました。ある日、『1階に空きが出てフルスケルトンで借し出せる』という連絡をもらいました。せっかくなので「何かやろう」と始めたのがINOUTです。ただただ「おもしろそう」という好奇心でスタートしました。
ー本当に偶然というか、趣味と言うか。気負わない感じがお店の雰囲気にも出ているのは、そのせいでしょうか。客層はやはり実際にアウトドアをする方が中心ですか?
K:100%そうとも言えないんです。たしかに「キャンプ場でINOUTのテーブルを使ってる人を見て欲しいと思った」「古くなったギアを新しくして世界感をつくりたい」という方が多いです。でも最近は「キャンプはしないけど、素材感のある家具が好き」「ラフな雰囲気が好き」「アウトドアインテリアに興味があって」という方にも来ていただけるようになりました。
アウトドアファニチャーでエコロジー
ーお店にいらっしゃる方は、INOUTの家具のどこに惹かれているのでしょうか。
K:やはり使用感だと思います。オリジナル商品に関しては、無垢材や帆布など自然素材を多く使っています。だからたとえば椅子なら、長時間座っていても疲れない。肌に触れたときのやわらかさ、身体へのフィット感が違います。それに、使ううちにタモの木の色は濃く、帆布はやわらかくなり、家と外ににどんどんなじんでいきます。多少の変色や汚れも味わいになるのは、自然素材だからです。
もう1つがファション性です。たとえばスタックボックスのカラーにしても、ただのブルーではなくグレイッシュなブルー。テーブルの脚も黒ではなくダークブラウン。家と自然、どちらのフィールドにもフィットします。
普段はシェルフの引き出しとして使ってもいいし、縦にして食器を飾っておいてもかっこいい。アウトドアギアを放り込んでおけば、そのまま箱ごと持ち運びできますしね。
そしてもう1つは、置き場所に悩まなくていいという点。収納場所に困っている方って意外と多いんです。収納に納まりきれないから、「もうこれ以上モノを増やせない」という方も。でも、毎日使っている家具や道具をそのまま持ち出すなら、収納なんて考える必要はありません。
ー座り心地がよく、家と外のどちらでもなじみ、置き場所には困らない。ただ、他のアウトドアの家具と比べるとちょっと高価な気がしますが。
K:アウトドアとして見ると、たしかにINOUTの家具は高いかもしれません。もっとお手頃なものはたくさんありますしね。でも、家用の家具とアウトドア用の家具、両方をそろえることを考えると、2ウェイ的な要素があるこちらのほうが経済的。それに、モノをむやみに所有しないという意味ではエコロジーになりますしね。
手づくりでものづくり
ー主力の家具や道具はオリジナルでつくられているそうですね。どちらでつくっていらっしゃるんですか?
K:金物は大阪、木工は秋田、帆布は倉敷です。昔から店舗設計でお付き合いがある職人さんなので、信頼できます。ひとつひとつをもの丁寧に頑丈につくってくれるので、簡単には壊れない。それにこちらがが「こうしたい」というのにも、応えてくれます。ときどきは自分たちで手を加えることもあるんですよ。
たとえば、デニムは濡れると色落ちするからキャンプでは避けられる素材なんです。でも『最初から色を落とせば落ちないだろう』ということで、シートにデニムを使ったソファーをつくりました。尾道デニムを使用しているのですが、工場である程度色落ちと縫製をしてもらった後に、お風呂場でひたすらゴシゴシとこすりました。縫製して生地が重なった部分にやすりをかけることで、色落ちして下の生地の白いラインが浮き上がってくる。履き古したジーンズのような風合いを出すには、やっぱり手作業じゃないとダメなんですよね。
ーそんなことまで小林さんが。本当に好きじゃないとできないことですよね。ちなみに、家具のほかにもアウトドアギアをつくられていますが、特徴はありますか?
K:家具と同様、家と外のどちらも想定しています。たとえばこちらのコーヒードリッパースタンド。キャンプに行くと大人数でコーヒーを飲むので、ドリップするのが大変なんですよ。ずっとこういったのが欲しいと思っていたんです。これなら、フレーバーの違うコーヒーを同時に淹れることができるので、家でも便利です。使わない方には保存瓶や調味料ボトルを置いたり。重厚につくっているので、飾り棚としても使えます。
アウトドアインテリアが映える住まいとは?
ーINOUTの家具はアウトドアインテリアとして注目されていますが、どのようなテイストの家に合うと思いますか?
K:家具に力があるので、どんな家に置いても違和感がないと思ってます。家具が家を引っ張ってくれるイメージと言いますか。実際、都内のワンルームに納品することもあるんですが、クロス張りの家に置いたときも「お、かっこいいじゃん」って思いますよ。でも理想的なところを言うと、自然光がたくさん差し込んで、グリーンが多く、木をたくさん使っているような空間がいいですね。
ーそう言えば、小林さんのお宅もアウトドアインテリアで統一されているそうですね。どのような空間なんですか?
K:自宅はほとんどINOUTの家具です。大きな開口の窓はフルオープンになり、開放するとデッキとひと続きのアウトドアリビングになります。キッチンの壁身はDIYで木のパネルを張り、フローリングはナラの無垢にエイジング加工を施し、ラフに仕上げました。天気のいい日は、テラスに家具を出してブランチをしたり、仲間と一緒にバーベキューをしたりしてたのしんだりしています。そんな暮らしをイメージできる方なら、アウトドアインテリアが合うんじゃないでしょうか。
まとめ
いかがでしょうか。
小林さんの「キャンプでもっとくつろぎたい」という思いから誕生した家具や道具。そこにファッション性や素材感をプラスすることで、家でも外でも使えるフレキシブルさが生まれています。
アウトドアをたのしむためには、日常の暮らしをそのままアウトドアのフィールドに持っていく。そのために、家具や道具を区別しないこと。心からくつろげる家具、あるいは、使い勝手のよい道具をえらぶこと。それを可能にしたのが、INOUTのアウトドアファニチャーです。
むずかしいことを考える必要はありません。
「心地よく過ごしたい」というシンプルな欲求から、アウトドアインテリアがはじまります。
家でも外でも使えるアウトドアギグを展開。家の心地よさをそのまま自然のなかに持って行くことができる。実店舗が東日本橋にあるので、まずは使い心地を試してみよう。
INOUT HP