ハウスメーカーに多いツーバイフォー(2×4)住宅。
「ツーバイフォー(2×4)住宅だから、リフォームをあきらめて建て替えにした」
「リフォームを前提に一戸建てを買おうとしたら、ツーバイフォー(2×4)住宅だったのでやめた」
なんて方がいらっしゃるそうです。それもこれも、〈ツーバイフォー(2×4)工法の家はリフォームがしにくい〉という知識が広がっているため。
たしかに、在来工法に比べると動かせない壁が多いため、間取りが制限されてしまいます。ただし、ハウスメーカーが建てたツーバイフォー住宅は、耐震性・耐火性が高く高断熱高気密。工法のルールさえ理解できれば、これらのメリットをそのまま活用しながら、ご希望の間取りにできるケースもあることは、あまり知られていないようです。
では、ツーバイフォー(2×4)住宅はどんなところがリフォームに向いているのでしょうか?
ツーバイフォー(2×4)の知識があるリフォーム会社は少ない?
「ツーバイフォー(2×4)住宅はリフォームができない」と思っている方が多いのには、理由があります。ツーバイフォー(2×4)住宅をリフォームできるリフォーム会社が少ないからです。在来工法であれば、大抵のリフォーム会社はきちんとリフォーム図面を描き、リフォームしてくれます。しかしツーバイフォー工法となると…。リフォーム会社の中で
「おーい。ツーバイフォー(2×4)工法の間取り変更できる人いる?」
「…」
「…そうだよね、難しいよね。断っちゃおうか」
と、このような会話が行われているのではないでしょうか。憶測ですが。つまり、ツーバイフォー工法の知識を持つ設計士がまだまだ圧倒的に少ないのです。
「それならもっと勉強するべきじゃないか」という声もありそうですが、決して設計者の怠慢ではありません。その理由は日本のツーバイフォー住宅の歴史にあるのです。
日本でツーバイフォー(2×4)住宅の歴史はまだまだ浅い
みなさん、ツーバイフォー(2×4)工法の歴史になんて興味がないかもしれませんが、歴史を知らずして現在のツーバイフォー(2×4)住宅を語れません。ちょっとだけ、お付き合いください。
ツーバイフォー(2×4)工法が生まれたのは、19世紀初めの北米です。少ない建材を使って、少ない人手で効率よく頑丈な住まいをつくるために考案されました。極めて合理的な工法なので、在来工法のように「この梁の組み方はとても美しいね。芸術的ですらあるよ」なんて職人技に感じ入ることはありません。
しかし、先述したように、ツーバイフォー(2×4)住宅は耐震性・耐火性が高く、省エネで工期も短い。加えてどの職人さんが施工しても、一定レベルの品質を保つことができます。「こんな画期的な工法があったのか」と、40年ほど前から日本でも普及していきました。
問題は、築20~30年経ったツーバイフォー住宅をいざリフォームしようとしたとき。部分や内装のリフォームだけならやってもらえますが、「大幅な間取り変更をしたい」とリフォーム会社に伝えると、「そんなのできません」と断られてしまうことが多いようです。ツーバイフォー工法のルールがいまいちわからないし、やったこともないからです。
ツーバイフォー(2×4)住宅はリフォーム「できない」のではなく「わからない」
というわけで、ツーバイフォー(2×4)住宅がリフォームできないと言われているのは「ツーバイフォー(2×4)工法のルールがわからないから」であって、「物理的にできない」というわけではありません。各メーカーごとのツーバイフォー(2×4)工法のルールをきちんと理解すれば、壁を動かして大きなLDKを設けたり、水まわりを動かしたりできることも。
各リフォーム会社の事例などに紹介されていますので、どの会社がどのようなツーバイフォー(2×4)リフォームを行っているかをチェックしてみるとよいでしょう。
中古市場には、リフォーム適齢期を迎えたツーバイフォー(2×4)住宅が多く流通しています。せっかく基本性能が高いツーバイフォー(2×4)住宅です。「リフォームしにくいから」と嫌煙するのではなく、まず「この家でどのようなリフォームができるか」と可能性を探ってみるのもよいのではないでしょうか。
ツーバイフォー(2×4)住宅こそリフォームしやすい?
今、ツーバイフォー(2×4)住宅にお住まいだったり、これから中古のツーバイフォー(2×4)住宅を買おうとお考えの方に知っておいてほしいのは、ツーバイフォー(2×4)住宅は、間取り変更を伴うリフォームが絶対にできないわけではないということ。
構造上のルールをきちんと理解してリフォームを計画すれば、さまざまなご要望に応えてくれます。むしろ、場合によってとてもメリットが多いケースもあるのです。
その一つが、プランの立てやすさ。大手ハウスメーカーが手掛けているツーバイフォー(2×4)住宅は、工法のルールが決められています。そのため、構造を理解しやすく、床・壁・天井の仕上げを剥がさなくても柱の位置や根太の方向、屋根のかたちを把握できます。使用されている構造材や部材もわかっているので、プランニングがとてもスムーズです。在来工法だと、天井を剥がした後に「あ…こんなところに梁があった。プランを変更しなきゃ」みたいなこともありますが、ツーバイフォー住宅だとそのような心配がありません。
ではツーバイフォー(2×4)住宅のリフォームなら、具体的にどのようなことができるのでしょうか? リフォーム実例とともにお伝えしていきます。
大幅な間取り変更でゆったりと過ごせるLDK
「大幅な間取り変更がむずかしい」といわれているツーバイフォー(2×4)住宅。しかし、こちらは工法のルールをしっかりと理解し、梁を補強したうえで、いくつかの壁を開口し、広々としたLDKを設けることができました。
南側の使わない和室をなくし、そちらにキッチンを大きく移動。キッチン〜リビング〜ダイニングに、つながりが生まれて伸びやかなLDKに。しかし、やはりツーバイフォー(2×4)住宅。構造上どうしても動かせない壁がでてきました。そこで重要になるのがプランの工夫。
今回は、リビングとダイニングの間にせり出した壁をパーテーションのように見立て、リビングの目隠しとして活用しました。こちらの壁と下がり天井によって、リビングにこもったような落ち着きが生まれています。
2戸を1戸につなげてワンルームのような大空間
フロアの半分がご自宅で、半分は賃貸。「2戸を1戸につなげたい」と、いくつかのリフォーム会社に相談したところ、「ツーバイフォー(2×4)住宅だからできません」と断られてしまったそうです。
しかし、あるリフォーム会社は「開口部をマグサや床根太で補強し、強度を保てば開口できる」と判断。できるだけ開口を大きくし、2戸をつなげて1戸でゆったりと暮らせるようにリフォームしました。
ついでに、と言ってはなんですが、上部に吹き抜けを設けたことで、より広々としたLDKに。引き戸を開放すれば、LDK~寝室までつながり、ワンルームのようにゆったりと過ごせるようになります。ツーバイフォー(2×4)住宅も、プランの工夫次第では、開放的な空間に生まれ変わることがわかりますね。
壁にスリットを設けて”抜け感”をつくる
それぞれの部屋はゆったりとしていて、部屋数も十分。しかし、デザインがありきたり。そこで、ツーバイフォー(2×4)住宅のルールに基づいて玄関とLDKの間の壁にスリットを設け、抜け感を演出しました。
もちろん玄関からリビングが丸見えでは困ります。半透明のタペガラスで視線を遮りつつ、リビングの明るさや人の気配が届くように工夫。玄関に立っているだけで、住まいのセンスの良さが伝わってくるようです。
ありきたりなデザインのツーバイフォー(2×4)住宅に飽き飽きしていた方も、このようにほんのちょっと壁を開口するだけで、モダンな雰囲気が生まれます。ツーバイフォー(2×4)住宅のリフォームでは、デザイン性も求められます。
まとめ
これまで「ツーバイフォー(2×4)住宅だから、リフォームしてもなぁ」なんて思っていた方も、ちょっと前向きになれたのではないでしょうか?
ツーバイフォー(2×4)住宅のリフォームは、依頼するリフォーム会社によって「できること」に大きな差があります。設計士者にツーバイフォー(2×4)工法のリフォーム経験と知識がなければ、設計図を描くことすらできないからです。
これだけ世の中にツーバイフォー住宅が多いのですから、「気にいった物件がツーバイフォー(2×4)住宅だった」ということもあるはずです。
立地も広さも価格も申し分ない物件だけど、ツーバイフォー(2×4)工法ということがネック…と躊躇している方は、とりあえずリフォーム会社に見てもらったらいかがでしょう。どのような間取りにできるかを、即座に教えてくれるはずです。ただし、よい物件はすぐに売れてしまうため、すぐに行動することはお忘れなく。
ツーバイフォー(2×4)住宅の間取り変更の事例について、より詳しく知りたい方はこちらもお読みください。
〈ツーバイフォー住宅は、間取り変更も増築もできる?〉
こちらは、2015年11月18日の記事を加筆修正しています。
2×4住宅の間取り変更、増築、デザイン変更はご相談下さい。HPにリフォーム事例と価格をご紹介しています。
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