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モールテックス左官仕上げ、美しさに迫る

モールテックス(MORTEX)という素材をご存知ですか?

モールテックスとは、ベルギーのBEAL社が開発した左官仕上げの材料のこと。一見モルタルのような風合いです。最近ではアパレルショップやカフェなどでよく見かけるようになりました。

それにしてもモールテックス、どうしてそんなに人気なのでしょうか?

モールテックスの5つのすごいところ

原田左官工業所

モールテックスがここまで浸透した理由は、全部で5つ。

薄塗りで柔軟性がある
表面が強い
水を透さない
付着力が高い
カラーバリエーションもある

あなどれないのが性能です。セメントに特殊な樹脂が入っているので、柔軟性が高い。つまり下地がたわんだり、地震で微動してもクラックが入りにくいということ。

モルタルは経年変化の趣があり、それはそれで惹かれるところはありますが、「メンテナンスに手間をかけたくない」という方は、モールテックスがよいかもしれません。

どこでも塗れるモールテックス

モールテックスを使ってリノベーションした事例です。

キッチンコンロのカウンターをモ―ルテックスで仕上げました。古材のカウンターが、モールテックスの塊に食い込むように造作。お施主さまのリクエストで”無骨でタフな”雰囲気を、モールテックスや古材の質感・造形で表現しています。

衝撃にも強いモールテックス

モールテックスはコテ跡を残しながら塗り込んで、ざっくりとしたイメージに。1〜3mmの薄さで塗るモールテックスなら、コーナーや小口もしっかり塗り込めます。

しかもモールテックスは、「コンクリートの5倍の強さ」と言われているため、薄塗りでも角が欠けたりすることはほとんどありません。

熱を持ったお鍋をうっかり置いたり、金属製のキッチンツールを勢いよくぶつけてしまったりと、何かと衝撃を受けやすいコンロカウンター。奥さまがラフに使っても、モールテックスの塗装なら安心です。

広い面もシームレスに美しく

こちらは玄関の土間にモールテックスを使ったリノベーション事例。

広い土間〜その奥のSIC(シューズインクローク)までモールテックスで仕上げました。金ゴテの跡や塗りムラが、ライトの光を浴びて印象的に浮かび上がります。

広い面に塗るほど存在感を増すモールテックス。広い面積でも“シームレス”に仕上げられることもメリットのひとつです。

ちなみにモールテックスは床暖房にも対応できるため、リビング・ダイニングの床に使うことも可能だとか。モルタルではできなかった場所でも、モールテックスなら大丈夫です。

水まわりも大丈夫

モールテックスは防水性が高いため、「水回りでも使える」と言われています。

たとえばバスルームや洗面室、シンクのように、モルタルなら不可能だった場所でもOK。

ただし、汚れ防止のコーティングはマストです。ニス・オイル・ワックスといったコーティング材を、エリアによって使い分けます。これをやらないと、汚れが浸透して大変なことに。

バスルームなら、こちらのリノベーション事例のように、六角タイルと貼り分けるのもおすすめ。タイルのレトロさが、モールテックスの味わいある質感とマッチしています。

カラーバリエーションがきれい

BEAL

モールテックスの魅力は、なんと言ってもカラーバリエーション。「カカオ」や「オリーブ」「アクア」など、カラーサンプルを眺めているだけでもたのしくなるようなネーミングです。

たとえば、同じ「カフェラテ」のカラーでも、トーンが4段階。トーンが違うとイメージがぐっと変わるから、慎重に選びたいところですね。

サンプルの小さな面と、実際にモールテックスを塗った壁の大きな面でも、色の印象は違います。サンプルで「このくらいの濃さがいい」と思っていたのに、実際に大きな壁に塗ると「イメージしていたより薄かった」なんてことも。カラーモールテックスは慎重に色を選びましょう。

やさしい表情を浮かべる白いモールテックス

個人的におすすめなのは白。白もニュアンスの違う4種類から選べます。

クロスや塗装とはまた違った印象。

光があたると、水面のように塗りムラが浮かびあがります。うっかりすると見過ごしてしまいそうなさりげない表情。しかし空間に、ふわりとやさしい気配。

「シンプルだけど、趣のある空間にしたい」という場合におすすめの、白いモールテックスです。

モールテックスの注意点

CRAFT自由ヶ丘モデルルームのモルタルの壁

メリットだらけな印象を与えるモールテックスですが、注意点も。

〈仕上げが限られる〉
ダイナミックなコテ跡をつけたり、コテでならして表面を滑らかに仕上げたり、2種類のカラーモルタルを混ぜてムラ感を出したり。モルタルは仕上げに遊びを持たせやすいのに対し、モールテックスは仕上げが限定されてしまいます。モールテックスは塗ってるそばから乾いてしまうので、モルタルのような意匠をしずらい傾向に。モールテックスは、ラフでざっくりした風合いがお好みの方におすすめです。

※モルタルについては、〈モルタル仕上げのシームレスな美しさを取り入れる〉の記事をご覧ください

〈水回りも大丈夫…という保証はない〉
バスタブやプールにモールテックスが使われているケースを見かけますが、「絶対に水を透さない」というわけではありません。メーカーによる保証もありません。しっかりと防水処理をしたうえで、正しく施工すれば大丈夫とは思いますが….。まだまだ新しい素材なので、期待と実際に差があるかもしれません。


〈クラックが”絶対”に入らないワケじゃない〉

モールテックスは「モルタルに比べてクラックが入りにくい」というだけで、絶対に入らないというわけではありません。もともとラフな趣が魅力のモールテックスですから、モルタルを同様、クラックも自然な味わいととらえるようにしましょう。

〈コストはモルタルより高くなる〉
モルタルは昔から外壁などに使われてきた素材で、セメントと水を混ぜただけのもの。これに対してモールテックスは、セメントに樹脂を混ぜて開発された特殊な素材です。そのためコストは、モールテックスのほうが確実に高くなります。(単価の上昇率は施工範囲によります。リノベーション会社か左官屋さんに確認しましょう)

モールテックスとモルタル、どちらもよいところがあります。リノベーションのデザイナー、もしくは左官職人としっかり話し合って決めたいですね。

モールテックスの仕上がりは職人の腕次第

モールテックスは、認定を受けた職人しか施工できません。つまりモールテックスの仕上がりは、左官職人の腕次第。さらには”センス”も求められます。

モールテックスを塗るときは、デザイナーと左官屋さんが”どれくらいラフ”に、あるいは”整然と”仕上げるかを話し合って決めます。職人はデザイナーのニュアンスを汲み取って、微妙な力の入れ加減やコテの動かし方、ムラの出し方で表現してくれます。

クラフトでは、認定を受けた経験豊富な左官職人に依頼しています。モールテックスを塗るときは、リノベーション会社を通じて腕のよい左官職人に依頼しましょう。

まとめ

モールテックスの魅力についてご紹介しました。

モルタルのような質感がありながら、「柔軟性」「強度」「防水性」「密着性」など高い性能のあるモールテックス。これまで諦めていたような場所にも塗ることができるようになりました。

しかしお伝えしたように、モルタルとモールテックス、それぞれによいところがあります。使う場所やコスト、質感から、どちらが空間にフィットするかを、リノベーション会社のデザイナーと話し合って決めましょう。

モールテックスを使ったリノベーション事例もご紹介。インダストリアルやブルックリンなどさまざまな空間を演出する自由度の高い素材・モールテックスにご注目。

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