買物途中で疲れたとき、本を読みたいとき、いつでもあたたかく迎えてくれるカフェ。あまりに居心地がいいと、ついつい長居をしてしまいますね。「カフェのような家にしたい」という方は、相変わらず少なくありません。
実際にカフェのような家に暮らす方に聞いてみると、「家で飲むコーヒーがおいしくなった」「カフェにあまり行かなくなった」「仕事がはかどるようになった」などなど。リラックス効果は抜群のようです。ところで、カフェのような家ってどんな家?
これから、カフェのような家にリノベーションした実例と、コーディネートのコツをご紹介します。
どれがお好み? カフェのような家にリノベーション実例
手づくりのぬくもりを感じるカフェのような家
森の近くにひっそりと佇んでいて、ハンドドリップでおいしいコーヒーを淹れてくれそう。そんなカフェのような家にリノベーションしました。
「手仕事を感じる素朴な家具が好き」というお施主さま。そんな家具がフィットするやさしい空間にリノベーションしました。和室を取り込んでLDKを拡大。さらに天井を上げて、ゆったりと過ごせる大空間に。壁と天井はコンクリート躯体をあらわしにし、白く塗りました。コンクリートの凹凸があらわれるようにざっくりと、ラフに塗ったことで、リラックスできる空気感が生まれています。
ダイニングテーブルの上には、昔の工場で使われていたような無骨なペンダントライトを、3つ。あたたかな光で食卓を照らせば、よりカフェっぽい雰囲気が広がりますね。
ミッドセンチュリーの趣あるカフェのような家
ミッドセンチュリーを思わせるような懐かしさのある空間。ヴィンテージの厚いマグカップに、コーヒーをたっぷりと注いでもてなしてくれそうです。
床には、ハンドメイドのテラコッタタイルを貼りました。色褪せたような色ムラは、陶芸家の奥さまもお気に入り。斜めに貼る四半目地により、ゆる~い空気をつくりました。壁には、光沢のあるダークグリーンのタイルを。その下には、木目がはっきりと現れたチークでカウンターを造作しています。手づくり感のだだよう空間に、ステンレスキッチンがほどよい抜け感をプラス。
遠い昔にタイムスリップしたような空間は、懐かしさと新鮮さを同時に感じさせてくれます。
Rの曲線が心地よいカフェのような家
鮮やかで深みのあるグリーンがアクセント。ゴダールやキューブリックなど、オシャレな映画のなかに迷い込んだような気分になれそうです。
木と白をベースとしたやさしい色使いに、奥行きのあるアクセントカラーをプラス。梁や折り上げ天井、キッチンやドアノブにまで、R(曲線)にこだわりました。どこを眺めてもおだやかな曲線、やさしい木目とやわらかな白が広がっています。ヴィヴィットカラーやRが個性的ですが、シンプルな空間構成のおかげで、心からくつろげるLDKとなっています。
「映画が好き」というご夫婦のために、スクリーンとプロジェクタを設置。以前は毎週ごとにカフェに足を運んでいたそうですが。最近は、ケメックスで淹れたコーヒーを飲みながら映画を見てのんびり過ごすのが「とっても幸せ」とか。
カフェのような家をつくる、とっておきの方法
〈1〉オシャレなスツールでカフェのような家に
カフェに行ったとき、カウンターとテーブルどちらを選びますか? 私は断然カウンター派です。コーヒーを淹れる手つきを眺めたり、マスターと何気ない会話をするのがたのしいから。
カフェのような家を目指すなら、カウンターキッチンを取り入れてみてはいかがでしょう。忙しい朝も、カウンターの中からさっとトーストを出すことができます。
そこに欠かせないのは、素敵なスツール。こちらはステンレスキッチンに合わせてステンレスのスツールをセレクト。左右でシートの柄を変えて、にぎやかな雰囲気をつくりました。奥さまがカウンターからご家族にパンケーキを出す様子は、カフェそのもの。いつもより、たのしい朝になるそうです。
〈2〉自分らしいディスプレイでカフェのような家に
カフェのカウンターや飾り棚には、さまざまなアイテムが飾られていますね。お気に入りのレコードジャケットや、コレクションしたプレート、お気に入りの絵画など。オーナーさんの人柄がうかがえて、ちょっと楽しい気分になります。
カフェのような家づくりにも、自分らしいディスプレイが欠かせません。こちらのお施主さまは、お父さまから譲り受けたという真鍮のヤカンやお鍋を飾っています。手づくりのように歪んだサブウェイタイルや古材の棚に、控えめな光沢のある真鍮がよく合います。
「あら、素敵なお鍋。どうなさったの?」
「父の形見なんですの。よかったらほかのもご覧になります?」
なんて、ゲストとの会話の糸口に。気分に合わせて飾るものを変えたりしても、たのしいですね。
〈3〉画集や写真集を並べて北欧カフェのような家に
カフェのような家をつくるなら、本が大活躍。洋書をラフに棚に置くだけで、カフェっぽい雰囲気が広がります。ここで大切なのは、本のカバーの色やトーンをそろえること。シックなカフェを目指すなら、ダークトーンのものを。明るいカフェを目指すなら、パステルカラーでまとめてみましょう。お好きなイラストの絵本を並べてもよいでしょう。なかでも活躍するのは、画集や写真集。素敵な写真集なら、ぜひ表紙を向けて置いてみしょう。
ちなみにインテリアのスタイリング担当によると、「洋書や写真集は、ブックオフなんかで安く掘り出し物が見つかるし、もしカバーが派手すぎたら外せばいい」と。
これならコストをかけずにチャレンジができそうですね。
まとめ
いかがでしょうか。ただ「カフェっぽい」とか「オシャレになる」ことを意識してリノベーションをしても、「ごちゃごちゃして落ち着かない…」という状態になりかねません。表面だけをマネしても、カフェのようなリラックス効果は期待できないでしょう。
”カフェのような”と言っても結局は住まいなのですから、一番に追及すべきは心地よさ。
リラックスできる間取りやデザインを考え、そこにカフェらしい”要素”をプラスしていくのがプロの仕事です。今回ご紹介した実例のように、”どんなカフェに仕上げるか”は暮らす人の好みによってさまざまです。住む人のライフスタイルや好みからベースを決めて、サブウェイタイルやアンティーク煉瓦、古材といったラフな素材をプラスします。
カフェのような家は、あくまで家でくつろぐための手段。見た目だけのカフェっぽさにこだわらず、心地よさを感じられるアイテムを見つけてください。