狭小住宅をリフォーム。伸びやかに暮らす理想の間取り | リノベーションスープ

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狭小住宅をリフォーム。伸びやかに暮らす理想の間取り

都心にはたくさんの狭小住宅が存在します。

そこには、地下を設けたり、3階以上にしたりと、狭小住宅ならではの間取りの工夫がうかがえます。とくに地価の高い都心では、狭小住宅のニーズが多く、ミサワホームといった大手ハウスメーカーも手掛けているほどです。

そのためか、最近では中古の狭小住宅を買ってリフォームする方も増えてきました。

「狭小住宅なんだから、はじめから暮らしやすいように設計されているのでは?」

と思うかもしれませんが、一概には言えません。家族構成やライフスタイルによって暮らしやすさは異なりますし、それぞれの設計士の知識やセンスに左右されてしまいます。では、狭小住宅のリフォームで気をつけるところは?

今回は、東京都心の狭小住宅をリフォームするときの、コツや実例をご紹介します。

狭小住宅のお手本といえば、東孝光の〈塔の家〉

狭小住宅の名建築として有名なのは、建築家・東孝光が自宅として建てた〈塔の家〉。

渋谷区神宮前のキラー通りに面した6坪にも満たない敷地。ここに地下1階・地上5階の塔のような建物が建てられたのは、1966年のこと。6層のRC造の建物ですが、総床面積は20坪ほどです。

当時は今のように”狭小住宅”なんて言葉も、認識もないわけですから「あれって家なの?」「塔みたいじゃない?」と。そういうわけで〈塔の家〉と呼ばれるようになったとか。

そして、ここには”狭小住宅の見本”とも言える、住まいの工夫があるのです。

1階~5階までは吹き抜けで、どのフロアにいても窓の外の景色が視界に広がり開放的です。各フロアがスキップ状につながっており、行き止まりのない伸びやかな空間。部屋はもちろん、トイレや浴室にはドアがありません。間仕切り壁もほとんどありません。

家族3人で暮らすにはあまりにも小さな狭小住宅ですが、心地よさは申し分がないほど。ムダなく空間を使い、上下階につながりをつくり、屋外の景色を空間にとりこむ。まさに狭小住宅のお手本です。

狭小住宅リフォームの間取り〈家族がつながる家づくり〉

10坪以下の狭小住宅を目の前に、「どんな間取りにしよう…」なんてお悩みの方もいらっしゃるのでは。

今回はワンフロアが8坪の超狭小住宅のリフォーム事例をご紹介します。この物件は幸いなことに、4・5階は見通しがよく眺望に恵まれていました。さて、このメリットが、どう活かされているのでしょうか…。
 

狭小住宅リフォームで、陽当たりのよい最上階にリビング

隣家が密接しているものの、周囲は2・3階建ての住宅ばかり。隣家よりも2階分ほど背の高い狭小住宅でした。

そこで見晴らしのよい5階に、家族が集まるリビングをレイアウト。大きな窓やガラスブロックからは自然光がたっぷりと注ぐし、周囲の視線も気になりません。

光がすみずみまで行き渡るように、床は光沢のあるタイルを貼りました。屋上のテラスに続く階段は、既存を活用しています。片方の手すりを外し、もう片方を白く塗装し、軽やかなイメージに。

ゆったりと居心地のよいリビングに、自ずと家族も集まります。
 

狭小住宅リフォームで、吹き抜けから上下階のつながり

同じく明るい4階には、ダイニング・キッチンを設けました。上部に吹き抜けを設け、美しいらせん階段で4階と5階をつなげたことがポイントです。別々の空間で過ごしながら、家族の気配を感じることができるように。

たとえば遅く帰ったご主人さまがダイニングで食事をとっていると、リビングで会話する子供たちの声が聞こえる。上から「パパ、おかえり!」なんて声も届きます。うれしいじゃないですか。

こうなると、”狭小住宅はフロアが分かれてしまう”というデメリットはなくなり、”採光しやすい”というメリットだけが残ります。

狭小住宅リフォームで、デッドスペースをなくす

狭小住宅のリフォームで大切なのは、いかに空間をムダなくつかい、デッドスペースをなくすか。

パイプスペースや柱で生じるちょっとした空間も、ムダにはしたくありません。もちろん階段下も。

ということで、こちらは3階らせん階段下のデッドスペースに、もう1つトイレを設けました。スケルトンだった既存の階段に蹴込み板を入れて、完全にクローズされた空間としています。天井には半透明のポリカーボネイト、サイドの窓にも半透明のフィルムを入れて目隠ししつつ、自然光が届く明るいトイレが誕生しました。

これまでは1階にしかトイレがなく、階段をわざわざ下りたり上がったりと不便でした。しかし今回のリフォームで3階にもトイレを設け、生活動線を短縮。かんたんにいえば、トイレが近くて便利になったのです。

デッドスペースを活かし、暮らしをスムーズにする。狭小住宅のリフォームに求められる、空間使いの工夫です。
 

狭小住宅リフォームで屋上にアウトドアリビングを

屋上のある狭小住宅なら、アウトドアリビングを設けてみてはいかがでしょう。

こちらはコンクリートにウッドデッキを張り、さらに目隠しフェンスを設けました。都心にもかかわらず、周囲の視線を気にせず太陽と空を近くに感じ、気持ちよく過ごせます。アーバンアウトドアをたのしめる贅沢な空間です。

家族みんなでブランチをしたり、友人を招いてバーベキューをしたり。夏には子供たちがプールで遊ぶこともできそうです。そういえば狭小住宅だと「駐車場をつくったから庭ができない」というご不満もあるようです。ウッドデッキではなく、芝生を植えて屋上庭園をつくるのもよいでしょう。

狭小住宅リフォームの間取り〈光を取り込む家づくり〉

住宅密集地の3階建ての狭小住宅です。3方を建物に囲まれ、正面は人通りの多い道路。この状況が狭小住宅リフォームでどのように変わるのでしょうか…。
 

狭小住宅リフォームで、中庭から採光

狭小住宅をリノベーションcraft

先述したように隣家が密接し、採光しにくい状態です。そこでフロアの中央に、中庭を設けることにしました。

「ただでさえ狭いのに、中庭つくっちゃうの?」

なんて思うかもしれませんが、こうした住宅密集地における中庭の効果は絶大です。

・光をとりこむことができる
・開放感や伸びやかさを感じる
・カーテン開けても隣家の視線を感じない
・窓を開けてもうるさくない
・すべてのフロアが明るい

などなど。
住宅密集地の圧迫感がなくなり、まるで閑静なエリアで暮らしているかのようです。さらに中庭と室内の壁の色を統一したこともポイント。部屋の中と外がつながっているようなイメージで、実際の広さ以上の開放感を感じます。
 

狭小住宅リフォームで廊下をなくす

ゆったりとした廊下に憧れているかもしれませんが、狭小住宅のリフォームではあきらめたほうがよいケースも。 廊下をあえて設けず、居住スペースを広くしましょう。

こちらはダイニング・キッチンの広さを確保するために、玄関とダイニング・キッチンと直結させました。 玄関を開けるとすぐにキッチンがあらわれますが、腰壁で目隠しをしているため生活感はありません。靴を履くときに手を掛けやすい高さに設定しています。

狭小住宅リフォームで間仕切りは最小限に

狭小住宅をリノベーションcraft

〈塔の家〉もそうであるように、狭小住宅はできるだけ間仕切りを減らしたいもの。

しかし「やっぱり洗面室やトイレにドアが欲しい…」という方もいますよね。確かに、いくら家族でも見られてうれしいものではありません。

そこでこちらは、洗面室の入り口の引き戸と、トイレの引き戸を兼用にしています。洗面室の引き戸をオープンにすると、トイレのドアがクローズに。逆に洗面室をクローズにすると、トイレがオープンになります。

狭小住宅ならではの、建具の工夫です。

まとめ

地価の高騰により、狭小住宅が増え続けています。都心に一戸建てを探している方は、狭小住宅も選択肢に入れざるを得ないのでは。なかには10坪以下の狭小住宅もあり、この場合はかなり工夫することが大切です。

そこで、狭小住宅を買ってリフォームするときのコツをご紹介させていただきました。

・陽当たりのよいフロアにLDKをレイアウト
・吹き抜けで上下階をつなげる
・デッドスペースを有効活用する
・中庭で採光する
・廊下をなくす
・間仕切りを最小限に

ただし、今回ご紹介したのはほんの一部のリフォーム例です。このほかにも、間仕切り壁をガラスにしたり、階段をなくしてオープンにし、視線を通したり。またキッチンにカウンターを設けてダイニングテーブルを置かないなど、さまざまな工夫により狭小住宅を広く、開放的に感じさせることができます。

ここで大切なのは割り切ること

理想をなんでもかんでも盛り込んでしまうと、”狭小住宅でゆったりと伸びやかに暮らす”というコンセプトがぶれてしまいます。ご自身のご希望に優先順位をつけ、「ダイニングスペースはなくていい」「収納は一カ所にまとめる」と潔いプランをつくることが大切。

まずは、リフォーム会社の設計士に〈この家でどのように暮らしたいか〉をぶつけてみましょう。その理想から、必要なもの、不要なものを取捨選択し、提案していくのがリフォーム会社の仕事です。

間取りを工夫しながらリフォームすれば、狭小住宅の狭さを感じず伸びやかに、都心暮らしをたのしめるはずです。

住宅密集地にある3階建ては“光や風が届きにくい”という欠点がありますが、リフォームプランで解決できます。アイデアが満載!ぜひのぞいてみて下さい。
 
3階建てリフォーム craft

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