リノベーションで「クロスにする?塗装にする?」と迷ったときに、ぜひ候補に入れてほしいのがルナファーザー。
塗装ができる下地クロスとして人気が高く、新築でもリノベーション現場でも使われています。原料は天然の紙。通気性が高く、ホルムアルデヒドなどの化学物質を含まない自然素材という点にも注目したいいですね。
ルナファーザーを使うとどんなメリットが? 施工費用はいくらくらい? についてご紹介します。
ルナファーザーはエコで質感ゆたかな自然素材
(画像上/ルナファーザー・チップの素地の状態)
ルナファーザーとは、1864年にドイツで生まれた塗装用下地クロスです。環境保護国ドイツではスタンダードなクロス。化学成分を含まないことから、日本でも人気を集めています。ちなみにオガファーザーというものもありますが、商品名が違うだけでほとんど一緒です。
ルナファーザーのメリットを以下にまとめてみました。
〈自然素材100%〉
ルナファーザーの原料は天然の紙。通気性に優れていており化学物質を発生しない、身体にやさしい自然素材。ちょっと厚めの和紙のような肌ざわり。自分で塗装するのが一般的なヨーロッパでは、100年以上も前から使われているそうです。
〈結露やカビを防止〉
ルナファーザーは「呼吸する壁紙」と言われています。通気性や調湿性が高く、結露やカビをおさえることができます。室内の心地よさをキープするのに役立ちます。
〈塗料の重ね塗りが可能、20年以上の長持ち〉
ルナファーザーは塗料を7~8回ほど重ね塗りできます。好みや気分に合わせて気軽に模様替えをたのしむことができます。また、ビニールクロスは10年程度での貼り替えることになりますが、ルナファーザーなら20年以上は持つと言われています。塗料は、各メーカーから販売されている環境対応型の水性塗料を使います。漆喰を塗ることも可能です。
〈やさしい風合い〉
肌触りは紙そのもの。大きなキャンパスにペンキを塗るようなイメージです。そのため躯体に直塗装するよりもやさしく質感ゆたかで、クロスよりも表情を感じます。またバリエーションが豊富なことも特徴。ルナファーザーには〈チップス〉と〈フリース〉があります。チップスは木片チップがランダムに入ったもの、フリースは型押し模様がついているもの。インテリアに合わせてセレクトしましょう。
〈メンテナンスがしやすい〉
壁や天井はいつの間にか汚れてしまいますね。ちょっとした手あかや汚れは、雑巾でふきとったり、台所要洗剤をつけたスポンジでふきとったり。広範囲に手あかやシミがついてしまったら、塗料を部分的に重ね塗りしましょう。わざわざペンキ屋さんに依頼せず、自分でタッチアップができるのもメリットです。
ただし、ルナファーザーにも弱点がある
ルナファーザーの弱点を、あえてあげるとすると
汚れやすいということ。
素材は紙なので、液体が吸収されやすくなります。「わ、醤油が飛んじゃった。雑巾…」なんて間に、どんどん染み込んでいき…。紙ですから布でゴシゴシやるとボロボロになるし、汚れが広がります。こんな時は、塗料を重ね塗りしましょう。
そしてもう1つが、施工費用が高くなること。
ルナファーザー自体も、ハウスメーカーなどで使われる無地のクロスよりも割高で、さらにクロス張り+塗装という施工費用がかかるため、コストは高めになります。ただし、ビニールクロスよりも長持ちします。長期的に見れば、それほど費用の差は生まれないかもしれません。
施工費用が気になる方は「子供部屋だけ」「リビングだけ」とういうように、コストバランスを測ってもよいでしょう。
ルナファーザーをおすすめするとき
リノベーション会社が、ルナファーザーをおすすめするのはどんな時でしょうか?
たとえば「クロスの壁を塗装に変えたい」という時。クロスをはがすと、下地材のボードが出てきます。貼ってあるクロスを剥がした後はボロボロ。しかもボードはペンキを吸うため、直接塗ることできません。そこで、塗装用下地クロスのルナファーザーを貼るわけです。
ルナファーザー自体に凹凸があるため、下地の凹凸が表面に出にくく、キレイに仕上がります。施工しやすいため、DIYをたのしみたい方にもおすすめ。ルナファーザーを無塗装にしておき、時間があるときに家族で塗るのもおもしろいでしょう。リノベーションの思い出になります。
ただし、ルナファーザーを貼るとき下地処理などが専門的な工事が必要になってきます。塗装はDIYでやるとしても、クロス貼りはプロに依頼したほうがよいでしょう。
ルナファーザーを使ってリノベーションした施工例をご紹介
ルナファーザー使ったリノベーションの施工例をご紹介します。
こちらは子供部屋の壁。DIYペンキ塗りにチャレンジし、かわいらしく仕上げました。
ルナファーザー・チップスを使用。木片チップのランダムな凹凸がやさしいイメージです。下地処理などが必要なルナファーザーはクラフトが張り、ペンキ塗りは家族みんなで仕上げています。お父さんとお母さんは上のほう、子供たちは下のほうと役割分担をしたそうです。よくよく見ると、ところどころペンキがはみ出したりムラになっていますが、それがまた味わいに。
模様描きは、お子さまの仕事。やさしいピンクを背景に、シルバーで描いた星やお花、ハートと女の子らしさ満載の壁になりました。大きなキャンパスに自由に好きな絵を描いたことは、きっと一生の思い出になるはずです。
ルナファーザーのクロスは何度でも重ね塗りができることもポイント。だからこそ、こんなに大胆な塗装にチャレンジできるというものです。中学生、高校生と成長したら、また好きな色に塗り替えてもよいですね。
まとめ
ルナファーザーの魅力と施工例をご紹介しました。
ルナファーザーは
・自然素材100%なので身体にやさしい
・結露やカビを防ぐ
・塗料を7〜8回ほど塗り重ねができる
・各メーカーから販売されている環境対応型の水性塗料を使用
・漆喰も可能
・20年以上も長持ち
・メンテナンスがしやすい
・塗装よりもやさしく、クロスよりも表情豊か
といったいくつものメリットがあります。施工に手間がかかり、費用が高くなる傾向に。全室をルナファーザーにするのではなく、リビングや寝室など長時間過ごす場所のみルナファーザーにする方も。
身体にもやさしく風合い豊かなルナファーザー。ぜひ取り入れてみませんか?
(こちらは2016年8月25日の記事を加筆・修正しています)