2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、宿泊施設の需要が高まりを見せています。東京ではホテルの新規開業やリニューアルが進んでおり、ラグジュアリーホテルもその例外ではありません。
今回は、2020年に向けて進化が続く、東京のラグジュアリーホテルをご紹介します。
ザ・リッツ・カールトン東京
「ザ・リッツ・カールトン東京」は、六本木駅直結の「ミッドタウン・タワー」の上層エリア45〜53階の9フロアを占めるラグジュアリーホテル。地上54階・高さ248mと東京でもっとも高層のビルで、窓に広がる風景はまさに絶景です。
ザ・リッツ・カールトン東京では開業10周年である2017年に向け、2014年よりホテル内のリノベーションを順次実施。その仕上げとして、オリンピックのビジネス需要に向けた宴会場のリニューアルが完了しました。「East Meets West」をテーマに、東洋文化と西洋文化の交わりをより強く意識したラグジュアリーな空間に生まれ変わっています。
複合商業施設「東京ミッドタウン」は、ザ・リッツ・カールトン東京が入居するミッドタウン・タワーのほか、美術館・緑地・オフィスビルなどで構成された街です。その配置計画は、日本庭園の石組みにインスピレーションを得たといいます。また、開発に合わせて周辺道路の電線の地中化、六本木駅舎の改築などを実施し、都市景観との調和を重視した建築計画となっています。
アマン東京
「アマン東京」は、大手町駅直結の「大手町タワー」33〜38階に、2015年開業したラグジュアリーホテル。東南アジアを中心に世界各国に高級リゾートを展開する「アマンリゾーツ」初の都市型ホテルとして話題になりました。
ほかのアマンと同様、その国の伝統と最新のテクノロジーが融合したラグジュアリーなホテルです。ロビーの吹き抜けは圧巻の高さ40m。日本の障子からヒントを得た天井からは、柔らかな光が降り注ぎます。客室は日本の伝統家屋にも使用される和紙や石材などが用いられ、和の美しさが活きたモダンな空間です。
また、大手町タワーに隣接する緑地は、敷地の3分の1を占める「大手町の森」。ただ単に木を植えただけのありがちな緑地ではなく、様々な種類・樹齢の樹木を移植して、日本の森本来の姿を再現しています。大手町エリアでもっとも高層のビルと、木漏れ日が美しい森の対比は、東京のラグジュアリーホテルにふさわしい空間です。
マンダリン オリエンタル東京
「マンダリン オリエンタル東京」は、2005年開業。東京メトロ銀座線 三越駅直結の「日本橋三井タワー」の上層エリア30〜38階にあります。日本橋三井タワーは日本橋エリアのランドマークとなるビル。東京スカイツリーの一番近くに位置する高層建築のため、視界を遮られることなく眼下に広がる東京の風景を楽しむことができます。
マンダリン オリエンタル東京のロゴマークは東洋をイメージさせる「扇」がモチーフ。「センス・オブ・プレイス」を企業理念として、その土地の文化や歴史に敬意を払い、客室のインテリアにはラグジュアリーな和のスタイルが採用されています。
また、隣接する三井本館は昭和4年(1929年)竣工、国の重要文化財にも指定されています。外装には花崗岩が使用され、整然と並ぶ列柱が印象的な新古典主義様式の建築です。地上7階建てのクラシックで重厚な建物と、地上39階建ての超高層ビルのコントラストが日本橋の歴史を感じさせます。
グランドハイアット東京
2003年開業の「グランドハイアット東京」は、六本木駅直通の複合商業施設「六本木ヒルズ」ランドマークの「森タワー」に隣接する21階建てのラグジュアリーホテルです。
東京オリンピックに向けて増加する、パーティや国際会議などのビジネス需要に対応するべく、2016年に「コリアンダー」「ドローイングルーム」など4つの宴会場をリニューアル。日本のホテルとしては初となる、317インチ(高さ7m・幅4m)のフルHD大型LEDスクリーン、天井には2,400個ものLEDライトを設置し、光や映像によるダイナミックな演出が可能に。また、都会の喧騒を忘れられるガーデンへ、4階の宴会場から直接アクセスできるようになりました。
星のや東京
「星のや東京」は、2016年東京・大手町に開業したラグジュアリーホテル。長野県・軽井沢や京都・嵐山などに和のリゾートホテルを展開する「星野リゾート」初の都市型ホテルです。複合商業施設の一部として構えるラグジュアリーホテルが多いなか、星のや東京は地上17階建ての独立した建物。近代的な高層ビルが立ち並ぶ大手町に、江戸小紋の紋様をイメージした黒い格子の外壁が目を引きます。
コンセプトは「棟の日本旅館」。木造平屋と庭で構成される伝統的な旅館の要素を、縦に連なる空間に展開しています。まず玄関で靴を脱ぎ、館内に敷かれた畳の感触を裸足で感じられるよう、スリッパ等は用意されていません。一般的なホテルラウンジのように、誰でも立ち寄ることができる空間はなく、宿泊客だけの高いプライベート性が確保されています。施設内の随所が洗練された和のしつらえで構成され、日本独自の「おもてなし」を体感できるラグジュアリーホテルです。
ラグジュアリーホテルの開業がつづく東京
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてラグジュアリーホテルの新規オープンは続きます。
■ホテルオークラ東京本館
虎ノ門にある老舗「ホテルオークラ東京本館」は50年の歴史に幕を引き、2015年に一旦クローズ。2019年の開業に向けて建て替え工事中です。
■フォーシーズンズホテル
大手町に建築中の再開発事業「OH-1計画(仮称)」は、2020年春の開業を予定。2棟のビルから構成される商業施設のうち、B棟の上層階に「フォーシーズンズホテル(正式名称は未定)」の入居が決定しています。
■東京エディション虎ノ門・東京エディション銀座
ラグジュアリーホテルのマリオット・インターナショナルは、最高級グレードのホテルブランド「エディション」で初の日本進出を果たします。地上38階建ての「虎ノ門トラストタワー」の上層階と、地上13階建ての「銀座2丁目ホテル計画(仮称)」いずれも2020年春の開業予定です。
まとめ
2020年のオリンピックに向けて盛り上がりを見せる東京のラグジュアリーホテル。しかし、オリンピック後の客足はどう予想されているのか気になります。
2017年に日本を訪れた外国人観光客は、過去最高の2869万人を記録。オリンピック以降も、観光市場は伸びを見せると見込まれています。しばらくはラグジュアリーホテル市場の白熱が続きそうです。
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