イタリアを代表する高級家具ブランド、カッシーナ(Cassina)。
富裕層や家具好きから支持されており、「リノベーションしたらカッシーナの家具を置きたい」「愛用しているカッシーナの家具が合う空間にリノベーションしたい」という声を聞くことがあります。
ここで気をつけたいのが、家具と空間の相性。洗練された家具はシンプルな空間でこそ映えるもの。今回は、カッシーナの家具と完全に調和しているリノベーション空間をご紹介します。
カッシーナとは?
今年で90周年を迎えたカッシーナ。
カッシーナの前身は、17世紀創業の家具工房。今のイメージからは信じられませんが、大聖堂の説教壇などを製作していたそうです。その後1927年にイタリアのミラノで株式会社化。それからは流行にとらわれない、本物のものづくりに根ざした家具を発信し続け、オピニオンリーダーとしてデザイン業界をけん引してきました。
そのなかで、日本のカッシーナ・イクスシーは、ちょっと特殊なポジションにあります。カッシーナの輸入代理店でありながら、自社工場でオリジナルブランドを生産。世界で唯一ライセンス生産を許されている企業なのです。
カッシーナの家具と調和する、高級リノベーションの事例
シンプルかつエッジの効いたデザインにより、人々の心をとらえるカッシーナ。それゆえに、生活感のある住まいにはフィットしにくいという問題も。カッシーナの家具が似合うのは、やはりモダンでクールな空間です。そんな住まいにリノベーションした事例をご紹介します。
〈case1〉白でまとめた空間にカッシーナのテーブル714
クローズだったキッチンをオープンにし、洋室を取り込んで25帖のLDKにしました。壁と天井、キッチンや収納TVボードを白で統一。ディテールにもこだわって仕上げた、生活感を感じさせない真っ白な空間です。そこにセレクトしたのは、カッシーナのテーブル〈714〉。
天板ガラスのエッジ部分は斜めにカットされており、ディテールへのこだわりを感じさせます。二人暮らしのご夫婦のダイニングテーブルにちょうどよいサイズ。
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〈case2〉ナチュラルな空間にカッシーナのソファSCIGHERA シゲーラ
2LDKのマンションを開放的な1LDK+Wにリノベーションしました。
ご希望は”ナチュラルな白い空間”。やみくもに白を使うと無機質になってしまうことから、木・大理石・タイルといった質感の異なる素材をセレクトし、表情ゆたかな白い住まいに。
自然光が注ぐ明るいリビングにセレクトしたのは、カッシーナの〈SCIGHERA シゲーラソファ〉。注目したいのはヘッドレストの低さ。通常のソファのように視線と光を遮らないため、空間に開放感をもたらします。
シートは奥行きがあり、ほどよい柔らかさと弾力性を備えています。〈SCIGHERA〉には霧という意味があるとか。ヘッドレストを手前に起こし、ゆったりと身体をゆだねることも可能。
まるで柔らかな雲に腰掛けたような座り心地。家族や仲間と長時間くつろぐのにおすすめのソファです。
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〈case3〉ブラックインテリアとカッシーナのスウィベルチェア LC7
築13年のマンションをリノベーションしました。
床・壁・天井、本棚はもちろん、縦型ブラインドやレールやスラットを繋ぐチェーン、スイッチやコンセントまで黒にこだわりました。徹底的にやり尽くした感のあるブラックインテリア。実は“ある家具”を置くことを想定してデザイン。カッシーナのLCコレクションです。
実はこちらの住まい、家具との調和を図るために絶妙な色加減に仕上げています。
黒と言ってもフローリングはやや茶色味を帯び、壁はグレーがかった色合い。家具の”黒”を吸収することで、全体のイメージをやわらげているのです。
〈 LC7 スウィベルチェア〉が誕生したのは1928年。デザイナーは世界を代表する建築家、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン。
4本のパイプの脚が一点に集中し、シートを支えながら回転させるという「垂直・水平・直角・回転」を実現しています。
1929年、パリのサロン・ドートンヌに出展。コルビュジェのピュリスムを感じさせる名作椅子として、今でも世界中の人々に愛されています。
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〈case4〉本物の素材で仕上げた空間にカッシーナのソファLC3
そしてLCコレクションの中でも深く愛されているのが〈 LC3ソファ〉です。スチールのフレームに落とし込まれたシートや背もたれ。直線的でシンプルな構造ながらも極めて個性的なフォルムです。言うまでもなく、余計な飾りのないシンプルな空間にこそフィットします。
こちらはウォールナットの無垢フローリング、割肌の石の壁など重厚な素材を用いて、落ち着いたリビングにリノベーション。 LC3ソファのややフォーマルな雰囲気と、高級感のあるリビングがマッチしています。
LCシリーズにリプロダクト品があることは皆さんもご存知かと思いますが、オリジナルとの差は歴然としています。スチールパイプのジョイントが雑だったり、キルティングの縫製が荒かったり。見た目だけでなく、座り心地も違います。見た目のストイックさからは想像できないほどリラックスできます。
カッシーナは、ル・コルビュジェ財団から「オリジナルに忠実に復刻できる唯一の企業」として選ばれています。少しでも気になったらまずは本物を見て、それから座ってみることをお勧めします。
LC2よりもシートに幅と奥行きがあり、座面が低いためゆったりとくつろぐことができます。カッシーナの正規品にはメタルフレームに刻印が。
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まとめ
高級リノベーションにふさわしい、カッシーナの家具をご紹介しました。
カッシーナの家具に限らず、美しい家具を際立たせるのはシンプルな空間です。「ただシンプルであればよい」というわけではなく、素材や色合いを調整しながら、バランスよく家具を取り入れていくことが大切です。主張しすぎるのでもなく、埋もれるのでもなく、空間に溶け込む。それでこそ、高級家具の魅力が発揮されるのではないでしょうか。
もうすでにカッシーナの家具をお持ちの方も、これからご購入予定の方も、リノベーションの際にはデザイナーにどのような家具を置きたいかを話しておきましょう。家具とリノベーションは、切っても切れない関係。家具を含めたリノベーションプランを提案してもらえるはずです。
カッシーナの家具が似合う住まいにリノベーションしてみませんか? 大理石や無垢など素材にこだわって上質な住まいにリノベーションした事例をご紹介しています。