南欧生まれの床材、テラコッタタイルをご存知ですか?
ナチュラルであたたかい雰囲気と、不揃いで素朴な風合いが人気のタイルです。南仏リゾート風の雰囲気を演出できるのも、テラコッタタイルの魅力。この記事では、テラコッタタイルの特徴やメリットのほか、デメリットについてもご紹介します。
テラコッタタイルは南欧の素焼きタイル
テラコッタ(Terra cotta)とは、イタリア語で「焼いた土」という意味。その名前が示すように、南欧で産出される赤土や石灰岩の粘土を固め、素焼きして作られています。主な産地はイタリアやフランス南部・スペインなどの南欧です。
テラコッタタイルの魅力は、素朴でラフな素材感です。ブラウン掛かったオレンジ色の暖かな色ムラ、わずかに波打つ表面は、土の温かさを感じさせてくれます。表面はザラリとした感触で、夏涼しく・冬暖かいことが特徴です。
テラコッタタイルの温かな雰囲気を手軽に楽しむために、テラコッタ調の床材も多く市販されていますが、やはり本物には素材そのものの魅力があります。
こだわり派におすすめのテラコッタタイル
テラコッタタイルの素材感にこだわるなら、職人がひとつひとつ手作業で成形したタイルがおすすめです。微妙に不揃いな形と炎の当たり方で変わる焼きムラによって、素材本来の豊かな表情を楽しむことができます。
さらにこだわりたい人には、アンティークのテラコッタタイルがおすすめ。18〜19世紀の古い城や屋敷で実際に使用されていたタイルを、建物の工事や取り壊しの際に丁寧に解体して保管したものです。歴史とともに付いた傷・汚れもありますが、それもまた新品のタイルにはない味わいといえます。
テラコッタタイルのデメリット
素朴な味わいが魅力のテラコッタタイルですが、それゆえのデメリットもあります。
通常の焼き物は粘土を一度素焼きしたのち、釉薬を掛けて再び焼成して仕上げるため、表面がガラス質で覆われます。一方、テラコッタタイルは素焼きのままのため、表面が多孔質で吸水性が高く、傷や汚れが付きやすいのです。「汚れや傷も味わいとして楽しむ」という考え方もありますが、メンテナンス性は無視できないという人も多いはず。
このデメリットは、テラコッタタイル専用のワックスを塗ることで軽減できます。ワックスの撥水性により汚れが付きにくく・落としやすくなるほか、美しいツヤを出す効果も。トイレやキッチンといった、汚れやすい場所にテラコッタタイルを採用する場合におすすめです。
テラコッタタイルは床暖房も使用可能
テラコッタタイルは床暖房にも対応可能です。タイルの特徴は熱伝導が良く、蓄熱性能が高いこと。一度じんわりと温まると冷めにくいため、床暖房向きの素材です。また、耐熱性が高いため薪ストーブや暖炉周辺の床材にも適しています。
テラコッタタイルの事例紹介
それでは実際にテラコッタタイルを使用した事例をご紹介します。いずれもキッチン床への採用ですが、ほかの素材との組み合わせによって様々な表情を見せることが分かります。
テラコッタタイルのキッチン事例1
六角形のテラコッタタイルが印象的な、南欧風キッチンの事例です。白を基調とした明るいキッチンにテラコッタタイルのあたたかい色が映え、ナチュラルでやさしい雰囲気となっています。
テラコッタタイルのキッチン事例2
重厚感のあるキッチンに、テラコッタタイルを採用した事例です。
専用ワックスを塗り込み、汚れを防止するとともに色ムラを付け、使い込まれたような雰囲気を演出しています。
アンティーク煉瓦の壁との相乗効果により、ヴィンテージ感あふれる空間になりました。
テラコッタタイルのキッチン事例3
ハンドメイドのテラコッタタイルを採用したキッチンの事例です。
スクエアのタイルを壁に対して斜めに配置することで、リズム感を生み出しています。
あたたかなテラコッタタイルの色味と、クールなステンレスキッチンとの対比が美しい空間です。
まとめ
テラコッタタイルのメリット・デメリットをご紹介しました。
・テラコッタタイルは、素焼きのタイル
・あたたかな色味と不揃いでラフな素材感が魅力
・こだわり派にはハンドメイドやアンティークタイルがおすすめ
・専用ワックスで汚れや傷の付きやすさを軽減できる
・テラコッタタイルは床暖房にも使用可能
使い込んでいくうちに、汚れや傷も味わいとして楽しめる、ラフな質感が魅力です。ナチュラルであたたかな雰囲気や素材の風合いがお好みであれば、テラコッタタイルを床材の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?
テラコッタタイル床の映える住まいに空間にリノベーション。さまざまなテイストのリノベーション事例をご紹介しています。