インテリアはすべて黒で統一。
邸内の床・壁・天井は、すべて黒。ソファなどの家具も黒。そうして研ぎ澄まされた視界に入っているのは、色彩ゆたかな絵画と美しい装丁の古書、光によって浮かび上がる石の壁。窓に映る景色も、額縁に入れた絵画のように見る人の心に訴えます。
「壁と天井は白」というのがスタンダードな日本の住まい。しかし長年パリで暮らしていたご夫婦は、ストイックなまでに黒にこだわってリノベーションしました。
ストイックに黒を追求したインテリア
ストイックに黒を追求したインテリア
玄関ドアを開けると、未知の世界にひき込まれたような心地よさが。
床の黒い大理石にはダウンライトの光が燦然と映り込み、見上げるとビビットな色彩のアートが、インパクトのあるコントラストで見る人の心を捉えます。
ゲストは好奇心をかき立てられ、住まい手は外の世界と隔離されたことに安堵を感じることになるでしょう。
お持ちの黒いソファが調和するLDK
ほの暗い廊下を通り抜けると、インテリアを黒でまとめたリビング・ダイニングが広がっています。床は黒いフローリング、壁も天井も黒。ここまで黒で統一すると普通なら圧迫感が生まれてしまうところ、天井高と大きなピクチャーウインドウによってほどよく抜け感が生まれ、開放感すら感じるほど。
3mもの高い天井。ブラインドを開けると、ビルの合間に豊かな緑がパノラミックに広がります。大きな窓から自然光がたっぷりと注ぎ、清々しく風が舞い込む居心地のよい空間です。
特筆すべきは、床・壁・天井の黒は100%純粋ではないということ。
フローリングはやや茶色がかっており、壁はどことなくグレー味を帯びています。それらがル・コルビュジェやノーマン・フォスターによる名作家具の黒を吸収し、全体のイメージをやわらげる効果があるのです。
美術館のように飾るラウル・デュフィの連作
リビングの入り口サイドは、この家のギャラリースペースです。
デュフィの10枚の連作を飾るために、入り口を廊下側に移動し、6.6mの幅の壁を確保しました。
壁には石を貼り、さらにライトで照らし、名作を飾るのにふさわしい重厚感を演出。
背景を黒にしたことで、デュフィの繊細かつ豊かな色彩が引き立っています。
海外で買った古書のために、リビングに本棚を
ご夫婦で長年かけて集めたという洋書。この美しい装丁の本を並べるため、天井まで届くほど大きな本棚を造作しました。黒い本棚がフレームとなり、本の色彩を引き立てるように。
本のサイズに合わせて高さと奥行きを計画。住まい手のセンスによって色分けしながらレイアウトされた本は、黒いインテリアを華やかに彩ります。どこまでも黒にこだわり、限りなく色を抑えたからこそ、数少ない色彩が生きてくるのです。
ホテルのパウダールームのように
言うまでもなく、玄関~LDK~寝室にいたるまで全て黒いインテリアにこだわりました。
洗面室も例外ではなく、床と洗面台の天板に黒い大理石を使用。壁と天井も黒で統一しています。
ミラーの背面はマットな黒いタイルを貼り、さまざまな素材感が行き交う印象的なスペースに。大理石やタイルの表情はあくまでもやさしく、使う人の心を静めてくれるようです。
ゲストが使うことも多いため、ホテルのパウダールームのような高級感を意識しました。
まとめ
インテリアを黒でまとめたリノベーション実例をご紹介しました。大切なのは、中途半端にしないこと。床・壁・天井やを黒で統一し、どこまでも徹底して黒にこだわります。
今回のお住まいのようにアートを美しく飾りたいなら、色を引き立てる黒いインテリアがおすすめです。
ただし、単純に黒でまとめてしまうと、圧迫感や落ち着かなさが出てしまいます。住まいとしてはNGですね。リノベーションの際は、光・素材感・色によって、クールさの中に豊かでやわらかな印象をつくりましょう。”くつろぎ”を感じられるように計画することが、ブラックインテリアの最大のポイントではないでしょうか。
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