リノベーションで悩むのが、壁の色ですね。
だからといって「無難な白に」というのはもったいない。セレクトする色によって、イメージや居心地がおどろくほど変わります。大胆にチャレンジできることが、リノベーションのメリットです。
壁の色は心理的な効果にも影響します。そのことも考えてつつ、インテリアに合った色を見つけるべきです。
これからクラフトのリノベーション事例をもとに、色彩のある空間づくりのポイントをご紹介します。
壁の色には心理効果がある
壁の色を決める前に知っておいてほしいのが、壁の色の心理効果です。
親しみやすく見せたいときは、淡いピンクのニットを着て、知的に見せたいときはぱりっとした青いスーツを着る。みなさんも無意識にやっていることだと思います。
壁の色も同じで、色によってさまざまなイメージをつくります。ただし、洋服なら毎日取り替えられるけど、壁の色はそう簡単に変えられませんよね。『その空間でどのように過ごしたいか』を考え、色を選んでみましょう。
ー壁の色があたえる心理効果ー
〈blue〉集中力を高める、心を落ち着かせる….寝室や書斎に
〈red〉意欲的にする、気分を盛り上げる…キッチンやキッズルームに
〈green〉ストレスをなくし、心のバランスを保つ…キッチンやバスルームに
〈orange〉食欲が増す、たのしい気持ちに..ダイニングやキッチンに
〈purple〉リラックス、非日常的な気分に…寝室や書斎に
もちろんあくまでも一般論です。これにとらわれず、「見ているだけで元気がでる」といった色をセレクトするのもよいでしょう。
淡くやさしいパステルブルー
懐かしいような気持ちを誘う、淡いパステルブルーの壁。
ここは海の近くのセカンドハウスです。アンティークな趣がただようインテリアがお施主さまの理想。そこでリビングと寝室の間仕切りは、どっしりとした厚く設けてR(曲線)に開口しています。パステルブルーの珪藻土は、テクスチャーが残るようにたっぷりと塗り、味わいのあるアクセントに。
南仏の古い家を訪れたような趣とぬくもりを感じさせる空間です。
心をとらえるビビットグリーン
はっとするほど鮮やかでビビットなグリーン。
LDKに入った瞬間、ちょっと目をうばわれてしまうような存在感です。オープンキッチンは、生活感がでないように壁面収納を設けました。引き戸は鮮やかなグリーンに塗装。グリーンはご主人さまの大好きな色なのだとか。R(曲線)の梁やキッチンカウンターといった非日常的な空間に、ごく自然に溶け込んでいますね。
「ホームパーティーをすることが多い」という、ご夫婦のにぎやかなライフスタイルにぴったりな壁の色です。
深いミッドナイトブルー
沈黙をおもわせるミッドナイトブルー。
リビングに続くSOHOスペースは、深いブルーの壁で囲み込みました。中に入ると、地下室や穴倉にこもったような静けさと落ち着きが。ここでは本を読んだり、PCを使ったり、仕事をしたり。ドアのないオープンの空間なのに、ブルーの壁のおかげで独立性が保たれています。
家族とのつながりを感じつつ、自分の世界の深いところに浸ることができる。そんな絶妙なゾーニングを可能にする壁の色です。
クリアな劇的ブルー
海の中にいるような気分になるブルー。
お好きだというデザイナーの作品からインスピレーションを得て、アーティスティックな雰囲気の個室に仕上げています。
イメージする色のペンキが見つからなかったことから、海外からペンキを輸入することに。どこか異国の海のように深く、クリアな色彩にこだわりました。一口にブルーとは言えないような、豊かさを感じさせる壁の色です。
床はモルタルをウレタンクリアーで塗装し、光沢のあるモダンな雰囲気に。ミニマルなスチールカウンターやランダムなニッチが、海の中の浮遊感を感じさせてくれます。
大人のリッチな赤
”元気な赤”、というわけではなく、”ラグジュアリーな大人の赤”。
奥さまのアトリエは、お好きな色をアクセントカラーにしました。スポットライトの光で生まれた陰影が、より華やかで上質な印象を与えています。部屋に入った瞬間に、気分が一気に仕事モードに切り替わりそうです。しかもワクワクしながら。
クリエイティブなお仕事なら、オンとオフの切替えを促すようなリッチな壁の色もおすすめです。
くつろぎのパステルグリーン
若葉のようにみずみずしいパステルグリーン。
LDKはグレーでクールにまとめています。一方、寝室はフレッシュなグリーンをアクセントカラーにし、さわやかで明るいイメージに。落ち着いたオークのフローリングとともに、ナチュラルでやさしい雰囲気を演出する壁の色。窓から注ぐ朝の光が壁に当たると、おだやかに、やさしく広がります。
開口からグリーンがちらりと見えると、心が柔らかくなりそうですね。
まとめ
壁の色によるインテリア事例と心理効果をご紹介しました。
壁の色はインテリアのイメージを大きく左右するだけではなく、人の気分を変えてしまう効果があります。
華やかな壁の色は空間のアクセントになり、やわらかな壁の色は心をいやしてくれる。落ち着いた色は…と、書くまでもないですね。なんとなく色のイメージがついたら、さっそく理想の色を探してみてください。
ただし、明度や彩度でイメージが変わりますし、クロスやペンキといったテクスチャーによっても印象が異なります。陽当たりや面積といった条件によっても見え方が違ってくるため、選ぶ時は慎重になるべき。できれば1人で決めるのではなく、デザイナーに相談しながらイメージ通りの色彩を選びましょう。