たくさんの高級マンションで暮らした人が最終的に選ぶのは、ヴィンテーマンション。
そう聞いたことがあります。どうしてでしょう?
「建物の価値は、20年ほどでゼロになる」というのが日本の住まい。しかし、それをくつがえす建物がたった一つ、ヴィンテージマンションなのです。上質なワインや家具のように、時を刻むほどに豊潤とした香りを放つヴィンテージマンション。
普通の建物と何が違うの? なぜ価値をキープできるの? 暮らし心地は?
東京都内の〈名作〉と呼ばれる3つヴィンテージマンションをご紹介し、その魅力を感じていただきたいと思います。
ヴィンテージマンションになるための条件
「ヴィンテージマンションってよく聞くけど、一体どんなもの?」という疑問はあるかと思います。私も最初はピンと来ませんでした。しかし、調べていくうちにヴィンテージマンションの条件がわかってきました。
〈見た目〉
・重厚感あるたたずまい
・高級な素材感
・飽きのこないシックなデザイン
・閑静な住宅地にある
・敷地面積にゆとりがある
・周囲に緑が多い
・低層で、戸数が少ない(例外もあり)
〈数字の定義〉
・築10年以上
・坪単価300万円以上
・100平米以上
ここに「管理体制がしっかりしている」「住民同士のつながりが深い」という条件も加わります。ヴィンテージマンションは新築時から長く暮らす人が多く、「このマンションの環境を守りたい」という人々ばかり。そういった人々が、管理組合の理事を務めていたりします。
さらに、弁護士や大学教授など社会的地位の高い住民が多いため、マンションの環境が脅かされそうになれば、本気で戦ってくれます。そこらへんの弁護士事務所より、よっぽど頼りになるでしょう。
〈広尾ガーデンヒルズ〉はヴィンテージマンションの代表
大規模ヴィンテージマンションの代表格と言えば〈広尾ガーデンヒルズ〉です。
広尾駅から徒歩3分。広尾ガーデンヒルズは、サウス・イースト・ノース・ウエスト・センター5つの丘から成り立ちます。東京ドームの1.2倍ほどの広大な敷地に、緑がたっぷりと敷き詰められ、その合間に15棟がゆったりと配置されているイメージ。遠くから眺めると広尾ガーデンヒルズ一帯だけ、不思議なくらい緑が多いのです。木々が生い茂るアプローチをゆっくりと歩いていると、公園を散歩しているかのような気分。3000人ほどの住人が暮らしているとは思えないくらいの静けさです。
今、渋谷区でこれほどの敷地を確保することは、ほとんど不可能と言われています。そのため、新築時よりも価値が上がっている物件も。
一戸あたりの平均専有面積は100平米、天井高は約2.4m。さらに間口が広いなど、広尾ガーデンヒルズの誕生は、これまでのマンションのイメージを替えるほど革命的でした。発売当時の抽選倍率の平均は40倍、人気の高い部屋は209倍にもなり、即日完売したそうです。
特筆すべきは、管理体制。普通のマンションのように、管理組合の理事長は当番制ではありません。長きにわたって広尾ガーデンヒルズで暮らし、広尾ガーデンヒルズを愛し、広尾ガーデンヒルズの資産価値を維持し、もっと向上させていこう!という経営者レベルの志を持つような人物が理事長に就任します。管理会社は年一回の住民アンケートによって契約を継続するかどうかを決めるため、馴れ合いになることもないようです。
広尾ガーデンヒルズの将来が保証されていることは、言うまでもないでしょう。
〈data〉
広尾ガーデンヒルズ
東京都渋谷区広尾4丁目
15棟/1181戸
地下2階、地上9~14階
1983-1987完成
〈広尾ガーデンヒルズをリノベーション!ポイントと秘訣〉の記事もご覧ください。
〈ドムス南麻布〉で味わう夢見るようなクラシカル
南麻布の楽園坂を上がった高台に、堂々とした建物があります。それが、ヴィンテージマンション〈ドムス南麻布〉です。一目でドムスだとわかる赤みがかったタイルは、当時の分譲会社が山ごと購入してつくったとか。景気がいい話です。
ドムス南麻布で驚くのは、内装。どこを見ても豪華絢爛といった感じで、ロビーや廊下といった共有部分の壁には、石目のそろった大理石が貼られています。見上げると、ゴージャスにきらめくバカラのシャンデリア。玄関のドアは、一枚板を掘り込んだクラシカルな框組。そこに、ヴェルサイユ宮殿にも採用されているフォンテーヌ社のハンドルが取り付けられています。
天井高は3m前後とかなり高めです。床・壁・天井にはメープルやチーク、マホガニーといった上質な素材が使われています。なかでも注目したいのが、壁の意匠。木製の框組のパネルや腰壁により、ヨーロピアンクラシカルな雰囲気がたっぷり。「これぞヴィンテージマンション」という特別感がただよっています。
造り付けの家具は、カナディアンメープルです。木目をそろえるために、一本の木から削り出したのだとか。20年という時を経て、深みのある飴色になっていることもヴィンテージマンションならでは。さらに宮大工が仕上げたという和室は、茶室のような趣。障子の先には日本庭園が広がっています。
館内を歩いていると、ヨーロッパの古いホテルに迷い込んだような不思議な気分に。ドムス南麻布は、「本当にマンションですか?」と目をこすりたくなるような、夢見心地にさせてくれるヴィンテージマンションです。
〈data〉
ドムス南麻布
東京都港区南麻布3丁目
1棟/15戸
地下1階、地上5階
1993年完成
〈ホーマット アンバサダー〉で感じる日本情緒
南麻布の閑静な住宅街。〈ホーマット アンバサダー〉が欧米邸宅のようにゆったりと佇んでいます。周囲にはフランス大使館やフィンランド大使館、ドイツ大使館があり、街行く人には欧米人が多いような印象です。
ホーマットシリーズのマンションが大使館に囲まれているのは、偶然ではありません。ホーマットシリーズの第一号〈ホーマット インペリアル〉が生まれたのは1965年。戦後から東京には海外の公官関係者が集まり、その外国人向け住宅としてつくられたのが、ホーマットシリーズの始まりです。そのため赤坂や麻布、番町といった大使館が多い地区で、ホーマットのヴィンテージマンションを多く見かけます。
なかでもとくにヴィンテージマンションとして名高いのが、こちらのホーマット アンバサダーです。アプローチの壁に積み上げられているのは、鉄平石。比較的浅い地下から採取される火山岩の一種で、古くから日本でも使われてきました。それが40年経った今、丸みを帯びて変色し、ホーマットに熟成した魅力を与える一役を担っています。
共有部分にはバーベキューコーナー、中庭には錦鯉が泳ぐ日本庭園も。部屋の中には、広々としたリビングやアメリカ製のガスレンジなど、欧米人向けにつくられていることがわかります。
ちなみに、かなりの人気物件で、不動産担当者によると「売り物件はめったに出ない」とのこと。買いたいと思った方は、売りが出るまで気長に待つしかなさそうです。
〈data〉
ホーマット アンバサダー
東京都港区南麻布4丁目
1棟/29戸
地下1階、地上5階
1971年完成
まとめ
いかがでしょうか。
ヴィンテージマンションは、はじめから「ヴィンーテジマンションをつくるぞ」というコンセプトで建てられたわけではありません。上質な素材と一流のコンセプトでマンションをつくり、その結果としてヴィンテージマンションになったのです。
10年、20年経つうちに、外壁の石は趣が増し、木の幹は太く、葉は豊かに生い茂り、ヴィンテーマンションたる風格が備わってくるのだと思います。しかし、贅沢な素材・ゆとりのある広さ・都心とは思えない静けさ。どのヴィンテージマンションも、この点は共通しているのではないでしょうか。現在も新築時の、あるいはそれ以上の価値をキープしつつけていることが、大きな特徴ですね。
今のヴィンテーマンションを探すもよし、これから育っていくヴィンテージマンションを探すもよし。これから〈ヴィンテージマンションに育ちそうなマンション〉を選ぶのもよいでしょう。
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