空間のなかでも視界に入りやすく、イメージをガラリと変えてしまうのが壁。お気に入りの壁紙を張ってみたり、DIYで塗装をしてみたり。思い思いの方法で一気にイメチェンできるのが、壁のリノベーションです。
最近では輸入壁紙やヴィンテージ壁紙といった、スタイリッシュな壁紙が登場しています。日本であまり見られないような大胆な色使いや、印象画や抽象画のようなうつくしい柄は、見ていてため息がもれるばかりです。本棚やドアのトロンプルイユ(だまし絵)の壁紙などもユニークですね。
しかし、塗装も捨てがたい。無地の白や黒の塗装でも、塗りムラや刷毛跡、かすかな光沢から表情を感じられるのは、塗り方で表現を変えることができる塗装ならではです。
また壁紙〈ルナファーザー〉という、上から塗装ができる壁紙は、自然素材としても注目されています。呼吸する壁紙として結露やカビ、化学物質を抑えてくれます。
「どれがいいの?」と悩んでいる方に、これからそれぞれのメリットをご紹介します。
輸入の壁紙を使って、自分らしい空間をつくってみよう
輸入壁紙でラグジュアリーな雰囲気を演出
日本の壁紙と言えば、白が定番。たしかに白はどんな家具にもマッチするし、清潔感もあるし、落ち着きます。でも海外の映画やドラマで見るような華やかな壁紙に、ちょっと憧れませんか?
輸入壁紙のカタログを見ていると、うつくしい絵画のような壁紙が目に飛び込んできます。目の覚めるようなブルーやピンク、大胆で繊細な模様。インパクトが大きいため、アクセントクロスとして使うのにはちょうどよい華やかさです。
こちらのお住まいは、リノベーション出ベッドルームに輸入壁紙を張りました。ほの暗い空間に、抽象的なモチーフがほんのりと浮かび上がります。輸入壁紙のなかでもシックな模様と色をセレクト。ベッドルームにはちょうどよい華やかさと高級感をもたらしています。間接照明によって、より表情が深まっています。
都内の〈MANAS〉といったショールームでは、たくさんの輸入壁紙を見ながら選ぶことができます。色味や柄の大きさ、光沢感などは、PCの画像やカタログでわかりにくいため、実際に見て選んでみましょう。
ヴィンテージの壁紙でとびきりキュートな空間に
ウィンテージ家具でまとめた空間には、ヴィンテージの壁紙がぴったり。
レトロカラーでにぎやかに描かれた大柄の花や、草木、幾何学模様など、現代には見られないようなノスタルジーを感じさせるヴィンテージの壁紙。やさしい色合いのため、ヴィンテージインテリア以外の空間にもマッチしそうです。
こちらの〈WALPA〉では、フランス、イギリス、オランダ、西ドイツ、ベルギーで1950年代~70年代につくられたヴィンテージ壁紙を取り扱っています。1ロールから購入可能なので、「DIYで部分的に張ってみたい」という方にはおすすめ。初めて壁紙張りにチャレンジする方は、貼ってはがせる初心者向けの壁紙キットからはじめてみてはいががでしょう。
素朴なかわいらしさがあるヴィンテージの壁紙は、壁紙として使用するだけじゃなく、スツールのシートに張ったり、ブックカバーにしたりと、アイデア次第で用途が広がります。
塗装で、繊細かつ奥行きのある世界感を表現しよう
深い海のようなブルーで塗装してみる
壁紙と塗装の違いはたくさんありますが、一番の違いは壁の表情。壁紙は、プロが貼ればある程度は同じ仕上がりになります。これに対して塗装は、塗料のテクスチャー、塗り方によって、同じ色でも印象が大きく変わるのです。
こちらは、リノベーションで壁をブルーに塗装した実例です。スポットライトの光が当たる部分は塗りムラや刷毛跡が浮き上がり、情緒的な雰囲気をかもしだしています。世界から完全に独立したかのような空間。理想のブルーは輸入塗料から見つけました。
このように独特の世界感を表現する場合、塗装の方が実現しやすい場合も。ただし、このように絶妙な塗りムラや刷毛跡の表現は、慣れた方でなければ難しいかもしれません。プロの職人さんに任せた方がベターですが、ご自分で塗る場合は、イメージしている塗りムラが出るように、しっかりと計画・練習をしておきましょう。
もともとの壁に塗装をする場合は、既存の壁紙をはがし、下地処理をすることになります。場合によってはクロスを張り替えた方が手軽なこともあるので、よくよく考えてみましょう。
特殊塗装で、錆びた鉄のようなクールさを
経年変化した鉄のように塗装した壁
趣ある雰囲気を演出するために、壁にアンティーク煉瓦を貼ることがあります。しかし「もう少しクールにキメたいな」というときは、このように特殊塗装をするケースも。
壁を黒く塗装した上から、職人が刷毛やスポンジ、スプレーを使い分け、鉄板が経年で錆びたり、すすけたりしたような風合いを描いていきました。巾木の上や四隅は錆を集中的に描くなど、時が経つうちに変色してしまったようなリアリティーを追求。職人さんの技が光る塗装の壁です。
ちなみにお子さまのいるご家庭では、リノベーションで壁に黒板塗装をすることも。みんなでチョークで落書きをしたり、「おやつは、れいぞうこだよ」なんてメッセージを残したりと、実用を兼ねたインテリアとしておすすめです。
壁紙に塗装? 自然素材のルナファーザーで心地よく
最近は、壁紙の上から塗装できるペンキが注目されています。たとえば3600色もの塗料がそろう〈ベンジャミンムーア〉や、10種の質感・288色のペンキのなかからオリジナルの色をつくってもらうことができる〈ポーターズペイント〉など。既存の壁紙の上からの塗装なら下地の必要がなく、DIYにチャレンジしやすいかもしれませんね。
こちらのお住まいは、ベッドルームの一部の壁紙の上から塗装しました。ただし、使用したのは塗装専用の壁紙、〈ルナファーザー〉です。〈ルナファーザー〉は、ドイツの自然素材の壁紙。漆喰や珪藻土のように呼吸しているため、結露やカビの発生を抑えてくれます。またホルムアルデヒドといった化学物質の発生もありません。
壁紙の表面には、木のチップによる細かな凹凸が。白い塗料を塗った壁紙にライトが当たると、ほのぼのとしたぬくもりが広がります。シンプルな白さのなかに、ゆたかな表情を感じさせてくれることも魅力です。また〈ルナファーザー〉のメリットは、汚れたら7~8回は繰り返して塗装できること。この間、壁紙の張り替えの必要は一切なし。長期的にみると経済的です。再生紙や端材、間伐材を利用していて、地球にもやさしいエコな塗装用壁紙です。
まとめ
いかがでしょうか。壁のリフォームを考えたとき、〈壁紙〉にするか、〈塗装〉にするかを迷う方は多いと思います。壁紙のバリエーションも、塗料のバリエーションも、選びきれないほどです。
リノベーションスープをご愛読の皆さまにはあらためて言うまでもありませんが、壁の仕上げを決めるときに一番大切なのは、「どのようなイメージにしたいか」ということ。
・ゴージャスな空間にしたい…輸入の壁紙
・ヴィンテージ空間にしたい…ヴィンテージ壁紙
・ラフで趣ある空間にしたい…塗装
・個性的でクールな空間にしたい…特殊塗装
大まかに分類するとこのようなイメージです。ただし、壁の仕上げは壁紙や塗装だけではありません。タイルや珪藻土、コンクリート躯体のまま仕上げたほうが、理想のイメージに近づけることもあります。
基本的に、どのような仕上げならどのようなテイストをつくることができるか、は知っておいてください。ただし、みなさんの理想のイメージを実現する”手段”を考えるのは、リノベーション会社です。どのようなテクスチャーの塗料で、どの色がいいか、どの仕上げ方がいいか。これまでの経験から、ぴったりの仕上げ材をデザイナーが選んでくれるでしょう。
まずは、リノベーションで”どのような空間にしたいか”ということを、つきつめてみましょう。