内装の壁の素材には、どのようなものがあるかご存知ですか?
マンションや建売住宅にで多く使われているのはクロスです。でもせっかくリノベーションするなら、あえてクロス以外の素材を選んでみてもよさそうです。
今回は、内装の壁の素材についてご紹介します。
1_壁の素材『塗装』
2_壁の素材『漆喰』
3_壁の素材『珪藻土』
4_壁の素材『モルタル』
5_壁の素材『アンティーク煉瓦』
6_壁の素材『木』
7_壁の素材『石』
壁の素材〈1〉鉄板のような特殊塗装
”壁の素材”でまずオーソドックスなのが塗装です。同じ”白”でもクロスと比べると、塗装の白壁はかなりシャープでクールな印象。ペンキのバリエーションも多く、最近ではDIYで塗装する人も増えてきているようですね。
しかしリノベーションなら、プロにしかできない特殊塗装にチャレンジするのもおすすめ。こちらの事例は左側の壁に特殊塗装を施し、鉄板が風や光にさらされて錆びてしまったような風合いを表現しています。
ただ汚れているのではなく、そこに”趣”を感じさせる。職人さんがスポンジを使って錆や煤けを一心不乱に描きあげる様子は、芸術家さながらの気迫です。巾木や隅には錆を集中的に描き、風合いをリアルに表現しています。
塗装の壁は、ときに絵を飾るよりもはるかに深い趣を空間に添えてくれます。
壁の素材〈2〉神聖にかがやく漆喰
漆喰の魅力は、〈光沢〉と〈清潔な白さ〉。
自然素材として知られている漆喰。日本では古くからお城や古墳などの外壁に使われてきました。室町時代に奈良のお城を見た宣教師は、「すばらしい光沢と白さだ!」と叫んだと言われています。(ほんとかどうかは知りませんが)
神聖とも言えるほどの潔白さで、ちょっと近寄りがたい雰囲気を放つ漆喰の壁。しかし光が当たると内側から輝くような光を放ち、やさしい表情が生まれます。こうして赤煉瓦風のタイルの床に合わせると、また少しノスタルジックな印象になりますね。
イノセントな漆喰の壁。古い教会に続くひっそりとした小道のように、可憐な趣を感じさせます。
壁の素材〈3〉アレンジのたのしさがある珪藻土
自然素材で人気の珪藻土。消臭効果や調湿効果といった性能はもちろんですが、その豊かな表情も魅力的。空間にやわらかな空気とさりげないアクセントを与えます。
こってりと厚みを持たせながら塗れば、壁から浮き上がるような肉厚な質感に。光が当たるとあらわれる陰影。触れたときのざらざらとした心地よさ。いずれも珪藻土ならではの風合いです。
暮らす人のお好みで、仕上げはいかようにも変えられます。控えめなコテ跡のコテ波仕上げ。ボーダーラインの櫛引き仕上げ。エッジのあるスパニッシュ仕上げ。まだまだほかにも、たくさんの仕上げのバリエーションが。
どう仕上げるかはあなたのお好みと、職人さんの腕次第。空間に合わせてアレンジしてみてはいかがでしょうか。
壁の素材〈4〉クールであたたかいモルタル
モルタルには、3つのメリットがあります。
1_シームレスに美しく仕上げられる
2_厚みやコテむらの表情が生まれる
3_クールだけど手しごとのぬくもり
漆喰や珪藻土のようなぬくもりがほしいけど、もっとクールに無機質に仕上げたい。そんなときに、モルタルの壁がぴったりとマッチするのです。
たとえばこちらの事例は、黒いモルタルに白いモルタルを重ねた壁です。モルタルの厚さ、コテのならし方によって、奥行きのある表情をつくりだしています。空間に溶け込みながらも、静かなる主張を感じさせるモルタル。経年するとクラック(ひび割れ)があらわれ、独特の風合いをただよわせます。
壁の素材〈5〉経年を感じさせるアンティーク煉瓦
壁の素材の1つとして、ここ数年人気なのがアンティーク煉瓦。時間の経過とともに変色し、砕けて丸みを帯びた煉瓦たち。壁の一部に貼るだけで、重厚なアンティーク家具を置いたような、あるいはそれ以上の趣を与えます。
ここでは、ちょっと特別なアンティーク煉瓦の使い方をご紹介。こちらはアンティーク煉瓦の上から真っ白なペンキをラフに塗って仕上げた壁です。目地をざっくりと仕上げ、ペンキの厚みを調整しながら、絶妙なバランスで塗っています。
白いペンキの隙間からアンティーク煉瓦の凹凸や煤けた色がちらりと見えると、空間に奥行きが。ちょっと新鮮でどこか懐かしく、モダンだけど味わい深い。ヴィンテージやブルックリンなインテリアがお好きな方にもおすすめです。
壁の素材〈6〉包まれたようなぬくもりある木
壁に木を張るのもおすすめです。
木の壁はあたたかく、深く、そして空間に強烈なインパクトを与えます。もちろん樹種によってイメージはさまざま。ナラはすっきりとさわやか、ウォールナットは重厚というように、色合いや木目でイメージが変わります。
こちらは玄関からリビングにかけての壁に、古材のチークを貼りました。大胆な凹凸によって壁に深い陰影が刻まれています。無骨でワイルド、そしてちょっとした哀愁がただよう古材。使い込まれたギターは古材の壁と調和し、ふと手に取ってみたくなるような親しみやすさが。
壁の素材〈7〉ハードなのにあたたかい石
最後にご紹介したいのが石の壁。
石は一見ハードなようでいて、実はあたたかい雰囲気。そこはさすが天然素材です。
もちろんセレクトする石によりますが、明るい石ならカジュアルな雰囲気に。ダークな石ならトラディショナルなイメージに。大理石や御影石のように模様のある石を使うと、ゴージャスな印象が生まれます。
こちらは玄関からリビングにかけて、壁一面に石を貼りました。サイズや色合い、石目模様の異なる石。天然石の息吹がリアルに伝わるよう、割り肌(石を割ったままの状態)の石を使っています。
”雨風にさらされたような風合い”にこだわって、ところどころに変色したような石を取り入れたこともポイント。ミッドセンチュリーの家具や小物がなじむ、味わい深い石の壁となっています。
まとめ
壁の素材についてご紹介しました。
プレーンな表情、ゆたかな表情。塗り方によってどちらもたのしめる『塗装』
神聖な光沢と清潔な白さが魅力。光が当たると真価を発揮する『漆喰』
肉厚でざらざらとした独特な表情で、さまざまな仕上げをたのしめる『珪藻土』
クールなのに、手仕事のぬくもりが伝わってくる『モルタル』
重厚な家具を置いたようなインパクトを与える『アンティーク煉瓦』
無骨でワイルドで、空間を大らかに包み込むようにやさしい『木』
一見ハードなようでいて、実はとことんあたたかい『石』
たとえばリビングの一角にアクセントとして取り入れるだけで、空間の雰囲気がぐっと変わります。何よりもこうした自然素材の壁は、経年変化が美しい。それだけでも取り入れる価値は十分です。
これからリノベーションする方は、壁の素材にこだわってみてはいかがでしょうか。
塗装、漆喰、珪藻土、石、タイル、木、クロス。さまざまな素材を壁に使ってリノベーションしています。アクセントに使うだけで、お部屋の雰囲気がぐっと変わります。