リフォームするとき、「フローリングにこだわりたい」という方が多くいらっしゃいます。なぜ壁ではなく、フローリング ?
第1に、フローリングは視界に入ることが多いです。ソファに座ったとき、移動しているとき、だいたい私たちはフローリングの存在を感じています。
第2に、こちらはもっと大きな理由なのですが、フローリングは、肌に直接触れることが多くあります。お子さまだったら裸足で歩いたり、床に座り込んで遊んだりすることが多いでしょう。大人だって、「夏は裸足で過ごす」という方もいらっしゃるのでは。
風合いや木目がやさしく、見ているだけでいやされそう。しかも、肌に触れると心地よい。せっかくリフォームするなら、そんなフローリングを見つけてみませんか?
フローリングの張り替え時期は?
「フローリングっていつが張り替えどき?」と聞かれることがあります。しかし、これはあくまでも個人的な感覚で判断していいと思います。
だいたい15年ほど経過すると、フローリングの色褪せや傷が目立ってきます。モダンなインテリアだと「ちょっとこぎたないな」と感じるかもしれませんが、ラフなヴィンテージ空間だと「お、かっこよくなってきたぞ」なんて思えます。あえてフローリングをエイジング加工したり、古材を使ったりするケースもあります。フローリングが色褪せて変色して、割れていたりしていても、インテリアのテイストと合っているのであればまったく問題ないでしょう。
ただし、歩くと「床鳴りがする」とか「たわむ」とかいう場合は、歩くたびにストレスになります。また、陽が当たる窓際や、水撥ねが多いキッチンや洗面だけ劣化がひどい場合は、リフォームでフローリングを張り替えたほうがよいかもしれません。
リフォームで使う木のフローリングは2種類
リフォームで合板フローリングを使うと?
合板(複合)フローリングとは、数枚の板を貼り合わせた合板の表面に、薄くスライスした無垢の木を貼付けたフローリングです。LDKはもちろんですが、水滴が落ちやすいキッチンや洗面室などにもおすすめです。
〈メリット〉
・温度や湿度に強く、膨張や収縮が少ない
・反り、キズがつきにくい
・色や木目の選択肢が多い
・コストを抑えられる
・床暖房に対応している
〈デメリット〉
・肌触りがかたく、冷たい
・木目が揃いすぎていて不自然
・表面がはがれたらみじめったらしい
・経年変化のたのしみがない
リフォームで無垢フローリングを使うと?
無垢フローリングは、天然木をそのまま削り出し、フローリングとして使用します。木目のおもしろさ、素朴な風合いをダイレクトに感じることができます。
〈メリット〉
・肌触りがやわらかく、あたたかい
・自然のリアルな風合いをたのしめる
・見た目に上質感、重厚感を感じる
・表面に傷がついても、気にならない
・経年すると味わいが増す
〈デメリット〉
・コストが高い
・反りや傷がつきやすい
・温度や湿度に強く、膨張収縮しやすい
・オイルを塗るなどのメンテナンスが必要
・床暖房に対応しているものが少ない
合板フローリングも無垢フローリングも一長一短です。リフォームでどちらを使うかは、理想のイメージや予算から判断すればよいと思います。
たとえば、家族が集まるLDKは無垢フローリングにし、キッチンや洗面室は合板フローリングにするなど部屋ごとに使い分けてコストバランスを図るのもよいでしょう。
リフォームはフローリングでどこまで変わる?
サペリのフローリングで上品な空間
欧米のホテルや邸宅のような、ラグジュアリーな雰囲気のお住まい。そんなイメージでリフォームするなら、サペリのフローリングがぴったりです。
サペリは赤褐色がうつくしい無垢材。高級木材として知られるマホガニーとよく似ており、その気品と高級感はマホガニーにも劣りません。経年するうちに、ダークブラウンへ変わっていくのも同じです。
木目が詰まってすっきりとしており、インテリアによく馴染みます。ちなみに、こちらの写真はフローリングとタイルでゾーニングしています。リビング側はサペリを、ダイニング側は白いタイルを張って、無垢のうつくしさをぐっと引き立てています。
北欧ヴィンテージには、表情のあるミャンマーチーク
北欧のヴィンテージ家具でまとめたインテリア。リフォームでは、ミャンマーチークのフローリングを張りました。
ミャンマーチークの特徴は、表情がゆたかなこと。濃淡があり、目詰まりがよいのが特徴。木目がのびのびとうねっています。ミャンマーチークは、昔から高級家具や、豪華旅客船の甲板などに使われてきました。甲板といえば、常に潮風と強い日差しにさらされ、潮水がふりかかってくることも。過酷な状況に耐えられる樹種ですから、その強さは言うまでもないでしょう。
反ったり割れたりといった経年変化が少ないため、安定した風合いをご希望ならこちらがおすすめです。個性的な木目と、北欧ヴィンテージの素朴な家具の相性は抜群。
オークのヘリンボーン張りでオーセンティックに
書斎や寝室といったプライベートな空間には、オーセンティックな雰囲気をご希望だったお施主さま。そこで、オークの無垢材をヘリンボーンで張りました。
オークは一言でいうと、控えめな上品さのある樹種。木目や節は大胆なのに、濃淡がそれほど強くはないため、シンプルなイメージとなっています。実際に触れてみるとさらさらしていて、凹凸を感じ、とても気持ちがいいのです。
そして、ヘリンボーン張り。 「寄せ木張り」とも呼ばれます。その名のとおり、魚の骨(ヘリンボーン)のように木を組み合わせることで、クラシカルな雰囲気を演出したいときにぴったりです。ただし、張るのにかなり手間がかかり、コストは高くなります。特別な空間に取り入れてみましょう。
重厚感をつくるなら、ミモザのフローリング
強い。とにかく木目のインパクトが強いのがこちらのミモザ。アカシアと呼ばれることもあります。
サペリのようにすっきりとした木目ではなく、力強くうねる様子は、けっこう迫力があります。ウォールナットに似た木目模様ですが、それよりもやや高級感を感じさせるのが特徴です。
控えめすぎるインテリアだと、濃淡の強いミモザのフローリングだけが浮いてしまう可能性がありますね。ですので、できればこちらのお住まいのように、壁に割肌の石を貼ったり、ウォールナットのドアを取り付けたり、重厚な家具を置いたりし、全体のバランスを考えながら使う必要があります。
お父さまが大切にしていたという、重厚感たっぷりのキャビネットやテーブルもぴったりの空間に生まれ変わりました。
床暖房に対応した、明るいパインのフローリング
パイン材と言えば、節。明るい木肌にリズミカルに散らばる節が、にぎやかな印象をつくります。
こちらは、小さな2人のお子さまがいるご家庭のリフォーム。LDKと玄関の床には、パイン材のフローリングを張りました。素足で歩いたときの肌ざわりがやさしく、お子さまのやわらかな肌にも心地よいのがパイン材です。
ちなみに、こちらは床暖房に対応しているパイン材です。床に座って過ごすことが多いため、こちらを探しました。
「無垢のフローリングは床暖房が使えない」と思ってらっしゃる方もいるようですが、そんなこともありません。床暖房に対応している無垢のフローリングもありますので、リフォーム会社やフローリング屋さんに相談してみましょう。
まとめ
今回ご紹介した以外にも、ローズウッド、カリン、マホガニー、ウォールナット、メープル、レッドシダーなどなど。フローリングの種類はたくさんあります。
樹種によって木目模様も節の多さも、色合いも風合いもぜんぜん違います。リフォームでフローリングを選ぶときは、迷ってしまうのは当然ですよね。
では、どうやって選ぶか?
まずはリフォームのテーマを決めましょう。「ミニマムな空間」とか「ラフな感じ」とかざっくりでもいいですし、具体的に「マンダリンホテルのレストランみたいにしたい」とか「ロンハーマンみたいなインテリア」とかでもよいです。どちらにしても、リフォーム会社が何種類かのフローリングを提案してくれます。もしかしたら、そのイメージを実現するのはフローリングではなくタイルかもしれません。
とにかく、フローリングは理想のイメージを実現するための手段であって、方法ではない。このことを念頭において、フローリングをセレクトしましょう。