日本で暮らす以上避けることができない「地震」。
内閣府によると、今後約30年間にマグニチュード7クラスの首都直下型地震が発生する可能性は70%だそうです。いつ起きてもおかしくない地震に備え、住まいの災害対策について再確認してみましょう。
家具の地震対策の重要性
1981年に施行された建築基準法では、「震度6強〜7程度の大規模地震で倒壊・崩壊しない」ように基準を定めています。新耐震基準に適合する建物であれば、地震による倒壊のリスクは低いと考えられるでしょう。
怪我の原因の3〜5割が家具
大きな地震が発生したとき、建物自体が損壊・倒壊さえしなければ安心という訳ではありません。東京消防庁発表のデータによると、熊本地震や岩手・宮城内陸地震など、近年の地震で怪我をした原因の3〜5割が、家具類の転倒・落下・移動によるものでした。地震時の負傷を防ぐためには、家具を壁や柱にしっかりと固定することが大切です。さらに、住まいと一体のクローゼットや造り付けの家具なら、転倒の可能性はほぼなくなります。
高層マンションは揺れが増幅されやすい
地震が生じたとき、住まいの種類や階数によって揺れ方は変わります。中高層マンションでは上階ほど大きく揺れる特徴がありますが、さらに超高層マンションでは「長周期地震動」が生じ、増幅された揺れが建物全体を大きく揺さぶるケースがあるのです。マグニチュード8クラスの地震が起きれば、50階のビルの場合で幅2mの揺れが10分以上継続する可能性もあるのだとか。タワーマンションにお住まいなら、階数に関わらず家具の固定は必須です。
災害時に避難しやすい間取り
閉じ込めリスクを低減する
地震の発生後、スムーズに避難できるかどうかも大切です。地震で建具が歪み開けにくくなったり、家具の転倒で避難経路が塞がれてしまったりするケースがあります。近年人気傾向の、壁の少ない開放的な間取りは、閉じ込めリスクが軽減できますし、ウォークスルークローゼットがあれば、複数の避難経路の確保に有効です。また、マンションにお住まいなら、バルコニーの避難設備(隣との間仕切り壁・床の避難ハッチ等)をプランター等で塞がないようにしておきましょう。
日頃から行える災害備蓄
内閣府によると、首都直下型地震が起きれば主要道路の開通には少なくとも1〜2日、一般道の復旧には1ヶ月以上かかると予測されるそうです。物流が麻痺すれば、商店から食料品や日用品が消えます。近年多くの物を持たないライフスタイルが人気ですが、災害備蓄は別に考えた方が良いでしょう。政府は少なくとも3日分、可能であれば1週間分の備蓄を推奨しています。
長期保存が可能な備蓄用の食品もありますが、防災グッズとして仕舞い込んでいるといつの間にか賞味期限が切れてしまうことが多いもの。そこで、日常的に食べる物の「ローリングストック」方式がおすすめです。日頃食べ慣れたものを備蓄しておき、賞味期限が近いものから消費して、減ったぶんだけ買い足していきます。キッチンにパントリーがあれば、多めの食料備蓄もすっきりと収めることが可能です。
耐震リフォームで利用できる減税・補助金制度
住まいを耐震リフォームするとき、一定の要件を満たしていれば減税制度や補助金制度を利用することができます。
所得税の減税
1981年(昭和56年)6月以前に建築された建物を、現行の基準に適合するように耐震リフォームした場合、工事費用(上限250万円)の10%を、その年の所得税額から控除する制度です。
固定資産税の減税
1982年(昭和57年)1月1日以前から所在する建物を、現行の基準に適合するように耐震リフォームした場合、翌年の固定資産税(120平米相当まで)が2分の1に減額される制度です。
自治体ごとの補助金制度
耐震リフォームや家具の固定器具に対して、独自の補助金・助成金制度を実施している市区町村もあります。役所の窓口やウェブサイトで確認してみましょう。
リフォーム時に耐震補強を行った事例1
当初は建て替えも検討していましたが、既存の住まいに残したい部分があったことから、リフォームを選択した事例です。ご愛用のクラシカルな家具が映えるよう、白を貴重としたエレガントな空間に一新。築38年が経過していたため、構造躯体に筋交いを追加するなど耐震補強を実施。外壁の補修・塗替えも行い、快適で安心して暮らせる住まいになりました。
リフォーム時に耐震補強を行った事例2
店舗兼住宅の建物を、店舗部分を取り込み住宅にリフォームした事例です。住宅密集地にあり閉塞感がありましたが、中庭を設けることで光と風が取り込める開放的な住まいになりました。築40年で老朽化が進んでいたことから、建物を一旦スケルトンにし、耐震補強・断熱性の向上・雨漏りの解消・外壁の張替えを実施しています。
リフォーム時に耐震補強を行った事例3
海の近くにある一戸建てを、心地よい別荘にリフォームした事例です。2階の壁を移動して、開放的なLDKに一新。その際、現れた柱が梁の位置とずれていたため、既存の柱を撤去して、新たな柱を適切な位置に設けて耐震性を向上。また、耐力性に懸念があったことから、一部の窓を塞いで壁を増やしています。休暇をのびのび過ごすことができる、安全な空間に生まれ変わりました。
まとめ
地震に備えた、住まいの災害対策のポイントは下記のとおりです。
・家具を固定するか、造り付けにする
・避難経路を確保しやすい間取りにする
・日用品や食料品を備蓄しておく
大規模リフォームは、住まいの耐震性能や防災性を向上するよい機会です。要件によっては、減税や補助金制度が利用できる可能性もあります。
耐震や防災に配慮した事例を多数掲載しています。災害に備えたリフォームで安心して暮らせる住まいに。