ここ数年、ペットの飼育数は横ばいなのに、関連市場は拡大傾向が続いています。その理由は、“ペットも家族の一員”と考える人が多くなり、平均支出が増加しているからだそうです。
一般的な間取りの住まいでは、ペットとの暮らしに不便や不安を感じることもあるもの。そこで、大切なペットのためにリフォームを決心する人も少なくありません。
「ステイホーム」の今、飼い主さんもペットも心地よく過ごせる住まいづくりのポイントをチェックしてみましょう。
ペットと暮らしやすい間取り
ペットが安心できる空間を確保する
飼い主さんのことが大好きなペットも、たまにはひとりで過ごしたいときがあるもの。ペットの習性に応じて、安心して過ごせる場所を確保してあげましょう。
犬は洞穴のようにこもった空間にクレートやベッドを置いてあげると、安心して眠ることができます。猫は人間の目線よりも高く、空間を見晴らせる場所が好きです。
ペットを隔離できる間取り・ゲートの設置
玄関にゲートや扉を設置すれば、ペットの飛び出し(脱走・迷子)や、来客への飛びつきを防ぐことができます。特に過去に脱走の経験がある場合や、道路に面した一戸建てにおすすめです。
犬の場合、(品種にもよりますが)50〜90cmと比較的低いゲートでも抑止力になります。
猫はそのようなゲートでは簡単に飛び越えてしまうため、天井までの扉を設置すると安心です。
格子扉やガラス扉にすれば、向こう側の様子が伺えますし、玄関が暗くなるのを防ぐことができます。
また、ペットをしっかりと隔離できる空間を確保しておくと、病気の療養でほかのペットとの接触を防ぎたいとき、設備点検などで外部の人が出入りするときなどに便利です。
ペットドアで自由に出入り
ペットが扉の向こうで“部屋に入りたい”と切なく鳴いたり、カリカリと引っ掻いたりする度に、人間はドア開閉係になります。なかには扉や引き戸を器用に開けてしまうペットもいて、家中のドアが開けっ放しに…これも“あるある”ですよね。扉や壁にペットドアを設置すれば、自由に出入りしてくれるようになります。
また、仕事部屋や大切なコレクションの保管場所など、ペットに入ってほしくない部屋には、簡易な鍵を設置すると飼い主さんも安心です。
のびのび運動できるようにする
飼い主さんよりも、おうちで過ごす時間がずっと長いペットには、のびのびと運動ができる環境を用意してあげたいもの。
庭やテラスに、芝生スペースやウッドデッキを設ければ、駆けまわったり日向ぼっこをしたりできるドッグランに。脱走対策として、犬種に応じた十分な高さの柵を設けましょう。
室内で過ごす猫には、猫用階段やキャットタワーなどで高さのある運動スペースを設けるとよいでしょう。縦方向の動線をしっかりと確保してあげれば、猫は横方向にそれほど広いスペースがなくても満足できます。
ペットがいても清潔を保ちやすく
空間をシンプルにする
ペットとの暮らしで避けて通れないものといえば、抜け毛。特に春夏の換毛期には、すぐに部屋の隅に毛がフワフワと溜まってしまうものです。解決法は、こまめな掃除しかありません。
掃除を少しでも楽にするためには、抜け毛が溜まりやすい場所を少なくすことがポイントです。引き戸は床に溝があると掃除しづらいので、天井のレールから吊るタイプがおすすめです。凸凹の少ないシンプルな間取りにすることで、抜け毛の吹き溜まりを減らすことができます。
掃除しやすい素材を選ぶ
床は、ペットの粗相や吐き戻しなどでもっとも汚れやすい場所。汚れが染み込みにくく落としやすい素材を選びましょう。特にトイレ周辺は掃除のしやすさを最優先にしたいものです。
フローリングの表面仕上げは、素材の質感を活かすオイルフィニッシュや蜜蝋ワックスが人気です。ただ、これらの浸透型塗料は水分が掛かるとシミができやすく、水拭きも適していません。汚れやすい場所や日頃から水拭きでお手入れしたい場所のフローリングには、ウレタン塗装などのコーティング型塗料がおすすめです。
磁器質のタイル床は耐久性が高く、粗相や吐き戻しによる変質がほとんどありません。ただし目地部分の汚れが落ちにくいため、防汚タイプの目地材を選ぶと良いでしょう。
防臭効果のある素材を選ぶ
壁材に珪藻土や漆喰など、調湿効果を持つ素材を採用すれば、空間の防臭効果も期待できます。人気の高いリクシル社の調湿壁材「エコカラット」のなかでは、水拭き可能な「エコカラットプラス」がおすすめです。そのほか、防臭効果を備えた機能性クロスを選択するのもよいでしょう。
ニオイの流れを考える
ペットがトイレをする度に、ダイニングまで臭いが漂ってくる…といった事態は避けたいもの。気になる臭いが人間の生活空間に広がらないうちに排出できるよう、空気の流れをシミュレーションして換気計画を立てましょう。
ペットが快適に過ごせる建材は?
強度の高い壁材を選ぶ
ペットのひっかき癖から壁を守るには、腰壁(床から90〜120cmの高さまでを板張りにする)の設置がおすすめです。
猫は爪とぎをする習性があるため、壁以外の場所で思う存分爪とぎができる場所を用意するのがよいでしょう。柱に麻ロープを巻き、まるごと爪とぎにリフォームしてしまうという選択肢もあります。
滑りにくい床材を選ぶ
滑りやすい床は踏ん張りが効きにくく、ペットの膝や股関節に負担が掛かりやすくなります。滑りにくい素材(タイル)を選ぶか、滑り止め用コーティング剤を塗布するとよいでしょう。
特に先天的に関節が弱い品種や、シニアのペットには注意してあげたいポイントです。ペットは人間よりもずっと早く歳をとります。シニア期のことも視野に入れたプランづくりがおすすめです。
リフォーム中のストレスを軽減する
部分的なリフォームの場合、仮住まいをせずに住みながら工事を進めるケースもあります。大きな音や人の出入りはペットにとってストレスになるため、一時的に食欲がなくなったり、下痢をしたりすることも珍しくありません。
スキンシップをいつも以上に増やしてコミュニケーションを取り、安心できる環境づくりをしてあげてください。ストレス症状が続くときや、元気がなくぐったりとしている場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
まとめ
ペットとの暮らしをより快適にする住まいづくりのポイントをご紹介しました。
・ペットが安全に過ごせる間取りにする
・ニオイが広がりにくく掃除しやすい住まいにする
・習性や健康に配慮した素材を選ぶ
それぞれの要素を、ペットの特性や性格に合わせて取り入れましょう。
リフォームで、ペットにも飼い主さんにも心地よい住まいを手に入れませんか?
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