ゼロエネルギーハウスという言葉を聞いたことはありますか?
一言で言うと、住まいのエネルギーを自給自足するエコな住宅のこと。
2013年の東日本大震災以降、家庭電機料金の平均単価が上がり続けています。2001年から2014年にかけては約25%以上も上昇しているのだそうです。
もし、自前で電気をつくることができたら?
光熱費を抑えられるだけでなく、地球にもやさしい暮らしが実現できます。
今話題のゼロエネルギーハウスを意識したリノベーションで、お得にエコロジカルに暮らしてみませんか?
ゼロエネルギーハウスってなに?
ゼロエネルギーハウスは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とも言います。
…ゼ?
失礼しました。ゼッチと発音するそうです。
年間の一次エネルギーが、ネット(正味)でゼロになる住まい。一次エネルギーとは、自然から得られるエネルギーで、石油・天然ガスや水力、太陽エネルギーのことです。
エネルギーを節約する設備と、エネルギーをつくる設備を住まいに導入することで、家のエネルギー消費量を+-0にしてしまいます。あわよくば、余った電力を売って、プラスにすることもできるのです。地球にもやさしいですね。
そんないい話があるか?
しかし、経済産業省が「2030年までにZEHを新築の基準にしよう!」推奨している住宅ですから、これからはスタンダードになっていくこと間違いなし。
では、どうやったら省エネ+創エネができるかを説明します。
ゼロエネルギーハウスの定義は?
ゼロエネルギーハウスは、経済産業省によっていくつかの条件が決められています。
・年間の一次エネルギーがネット(正味)でゼロになる
・一定の断熱性能を保っている(全国6つの区域ごとの基準値がある)
・自然エネルギーを取り入れた設計やシステム(自然の風を重視した換気システムなど)
・エネルギーの計測器の導入(30分間隔で計測し、1日単位のデータを13ヶ月以上貯蓄できるもの)
・太陽光システム(現時点でこちらが最も効率的)
このような条件を満たせば、ゼロエネルギーハウスの補助金制度を受けることができます。光熱費が抑えられるとは言え、初期投資がかかってしまうゼロエネルギーハウス。ぜひ、補助金制度をうまく活用しましょう。
ゼロエネルギーハウスはリノベーションでも補助金が
リノベーションでも、ゼロエネルギーハウスの補助金がでることをご存知ですか?
リノベーションにより〈省エネ・エネルギー生産ができる住宅〉にすることが条件。エネルギーの消費量よりも生産量が多くなれば、リノベーションでも補助金の対象になります。これはちょっとうれしいですね。
ただし、対象となるのはエネルギーを”節約する”ための設備であって、”生産する”ための設備は対象外です。
ゼロエネルギーハウスでは、省エネ関連設備の〈エコジョーズ〉〈エコキュート〉〈エネファーム〉や、電気やガスの使用量を把握する〈HEMS〉といった設備を導入をすることになります。
しかし、補助金対象とそうでないものがでてきます。
◯補助金対象
断熱材
断熱サッシ
省エネの空調設備
省エネの給湯設備
省エネの照明設備
×補助金対象外
太陽光システム
エネルギーの計測器
補助金額は毎年変わっていますが、今のところは寒冷地をのぞいて全国一律125万円(平成28年4月14日現在)補助されるようです。
ランニングコストがかなり安くなる
一般的な住宅とゼロエネルギーハウスでは、400~500万円ほども建築コストに差がでてくると言われています。
補助金が出たくらいではカバーできない金額ですが、水道光熱費のマイナスによって、将来的に見ると取り戻せる仕組みです。
先述したように、太陽光発電で生産して余った電気は、電力会社に売ることができます。こうして+にすれば、初期投資をより早く回収できるでしょう。
そうなると、かなりお得ですよね。
しかし今年からは、ZEHビルダー登録制度がはじまります。これまではどのようなハウスメーカや工務店、設計事務所でもOKだったのですが、これからは補助金をもらうためには経済産業省の〈ZEHビルダー〉に登録している会社に依頼することが条件です。
パッシブデザインでゼロエネルギーハウスに!
ゼロエネルギーハウスの条件に〈自然エネルギーを取り入れた設計〉というものがあります。つまり、こちらはパッシブデザインの考えに基づいた設計ということ。
「パッシブデザイン? 聞いたことあるな」と言う方は、意識高い系。
パッシブデザインとは、太陽の光や熱、風といった自然のエネルギーをうまく取り入れた住まいづくりのこと。
たとえば、壁にガラスブロックを入れて自然光を届けたり、南と北に窓を設けて南北通風を可能にしたり、窓の前に樹を植えて日影をつくり、涼しく過ごせるようにしたり。自然のエネルギーを有効に使うことで、消費エネルギーを減らします。調湿機能のある自然素材もおすすめですね。こちらもゼロエネルギーハウスの考え方につながります。
ゼロエネルギーハウスとは、快適に暮らせなければ意味がありません。ただ補助対象の条件に合わせてつくるのではなく、パッシブデザインを取り入れながら心地よさをつくることも、大切だと思います。
まとめ
いかがでしょうか。
経済産業省の認定するゼロエネルギーハウスを目指すには、けっこうハードルが高そうです。
個人的には、100%ゼロエネルギーハウスにする必要はないと思います。パッシブデザインや自然素材、省エネの冷暖房や断熱材を取り入れるなどし、できる範囲で省エネな住まいにすれば十分。エネルギーが0にはならないかもしれないけれど、光熱費などはだいぶ抑えられるのではないでしょうか。住む人が〈このくらいでいい〉と思えば、それでよいのです。
大切なのは、どうやったら心地よく暮らせるか。無理せず、たのしく。
これからリノベーションをする方は、ゼロエネルギーハウスを意識しながら、省エネでエコロジカルな住まいをつくりましょう。