「リフォームでオープンキッチンにしたい!」という声を聞きます。上部には吊り戸棚がなく、リビング・ダイニングと一体で開放的。キッチンからの見通しも抜群で、リビングやダイニング、さらには窓の景色まで視界に入ります。
しかし、オープンキッチンならではのデメリットも。オープンにするということは、ゲストからも〈見られる〉ということ。お昼に1人で食べようと思っていたインスタントラーメンを置こうものなら、「まあ…案外手抜きなのね」なんて思われかねません。
これから、ゲストに自身を持って見せたくなるようなオープンキッチンにリフォームした事例をご紹介します。ムダのないシンプルなデザインと、優れた収納計画にご注目ください。
〈事例1〉波のさざめき感じるオープンキッチンにリフォーム
ふと窓の外に目をやると、おだやかな海。非現実的な心地よさを感じるキッチンにリフォームした事例です。
海の近くの中古マンションをリフォーム。LDKに面した窓には海と空が映り、贅沢な印象です。この海を眺めながら料理ができるよう、これまでの壁付けキッチンから、オープンのアイランドキッチンへと変更しました。ご夫婦で料理をしたり、ホームパーティーでカウンターとして使ったり、これだけのスペースがあれば、用途はさまざまです。
ここでご注目いただきたいのは、キッチンの存在感。LDKに入った瞬間、誰もが目を見張ります。天板はマット加工のステンレス、側面はナラ材で、まるで上質な家具のようなたたずまい。床に貼ったイタリアの白御影石とのバランスも申し分ありません。背面にはコンロやグリル、ビルドイン収納を設置。冷蔵庫やワインセラーも隠し、生活感を一切なくしました。
これじゃ収納が足りない? いえいえ大丈夫です。背面の収納はガラス越しに廊下まで続いていますから、たっぷりと入れちゃってください。
〈事例2〉インテリアとなじむオープンキッチンにリフォーム
背筋がぴしっと伸びそうな、趣のあるキッチンにリフォームした実例です。
これまで独立していたキッチンを、オープンの対面式にリフォームしました。キッチンとひと続きでパントリーを設け、大量の食品やキッチン用品を収納できるように。これで生活感はすべて排除できますね。ダイニング~キッチン~パントリーは一直線上にレイアウト。数歩で行き来ができ、奥さまの家事効率もアップしたようです。
床には拭き取り掃除がしやすい光沢のあるタイル、キッチンやキャビネットには、落ち着いた色と木目が上品なハードメープルを使いました。背面収納にも同じ素材を使用。テーブルや椅子も、空間に合わせてオリジナルでデザインし、家具とキッチンが完璧に調和するように計画しています。
ダイニングの天井は、キッチンと同じ高さに下げ、リビング側とダイニング・キッチンを視覚的にゾーニング。インテリアと美しく調和するオープンキッチンに生まれ変わりました。
〈事例3〉奥行きのあるオープンキッチンにリフォーム
素材感をたっぷりと感じるキッチンにリフォームした事例です。
リビング~ダイニング~キッチンにかけて、段階的に重厚感が深まるように素材を配置しました。そうしてキッチンは、LDKのなかで最もシックな場所に。明るい木を使用したやさしい印象のリビングに対し、ダイニングテーブルの黒い天板、正面に貼ったダークグレーの石壁が力強い印象を放っています。上部に入れた間接照明によって石壁の凹凸がクリアに。素材感が引き立ち、リビングから見たときのアイポイントになっています。
縦長のダイニングカウンターは、オリジナルでデザインしました。長めに設計したカウンターは、一部を作業台としても使用可能です。ダイニングテーブルにもシンクを設けたため、食事前に手を洗ったり、飲み残しのワインを捨てたり、なにかと便利。
こちらも収納が足りなさそう? いえ、左奥にパントリーを備えています。オープンキッチンにパントリーは鉄板かもしれません。
〈事例4〉過ごしやすいオープンキッチンにリフォーム
キッチンだけど、食事をしたり、お子さまが宿題をしたり。まるで居室のようにゆったりと過ごせるオープンキッチンにリフォームした実例です。
これまで独立していて暗く、狭かったキッチンはオープンに変更。思いきりスペースを広げ、さまざまな過ごし方ができるように計画しています。
L字型のキッチンカウンターのほか、中央にアイランドカウンターを配置。テーブルも併設しており、さっと朝食をとったり、お子さまが宿題をしたり。キッチン以上の価値が生まれたり。キッチンの側面やアイランドカウンターの天板、壁面収納の扉は、同じ木の面材でまとめました。白とブラウンのコントラストで洗練された印象で、リビング・ダイニングにごく自然に調和していることもポイントです。
リビングと和室の間に位置しているオープンキッチン。料理をしながらリビングでくつろぐご主人さまや、和室でお昼寝しているお子さまの様子がわかるようになりました。
〈事例5〉和モダンなオープンキッチンにリフォーム
さわやかな白木が美しい、和の趣を感じさせるキッチンにリフォームしました。
リビング・ダイニングのフローリングは、木目がすっきりとしたタモ。天井にはヨシベニヤを張っています。そこに合わせたのは、和モダンなオープンキッチン。
キッチンの天板にはへアライン仕上げのマットなステンレス、キッチンの側面にはフローリングと同じタモの腰壁を立ち上げ、清涼感のある和の趣に。素朴なタモの木肌が、ステンレスのメタリック感をほどよくやわらげています。腰壁を高めに設け、ゲストから手元が見えないようにしたこともポイントです。
カウンターの一部は、家事の合間に庭を眺めながらお茶を飲んだり、お子さまが宿題をしたり。テーブルとしても利用できます。
たとえば卵を茹でている間に、カウンターに座ってほっと一息。ここからは手入れの行き届いた坪庭が見えます。そのほか昼食をとったり、家事の合間にお茶を飲んだり、本を読んだり。主婦にはうれしい、ちょっとした息抜きスペースです。
まとめ
オープンキッチンにリフォームすると、リビング・ダイニングを広く感じたり、家族やゲストとのコミュニケーションがとりやすくなるというメリットがあります。見通しもよくなるため、とくに小さなお子さまがいるご家庭からは人気です。しかし、オープンは”生活感が出やすい”というデメリットも。リフォームする場合は必ず、デザインと収納にこだわりましょう。
・背面収納を充実させる(家電も収納できればベター)
・パントリーを設ける
・色やテイストをリビング・ダイニングと統一する
・上質な素材を使う
・採光・通風・見通しに配慮する
・手元を見せたくないなら、キッチンの腰壁を高くする
・フルオープンに躊躇するならセミオープンという手もある
これらは、もちろんプロの設計士がキッチンの状況を把握し、みなさんに提案することです。しかし、みなさんは「こんなことできるんだ」くらいを知っておいてもよいでしょう。プランニングの打合せがスムーズになります。
プラン・デザイン・素材にこだわったオープンキッチンのリフォーム実例を掲載しています。大胆な間取り・デザイン変更で、新築以上の価値ある住まいに。
リノベーションcraft