近年関心を集めている暮らし方が、親世帯と子世帯の「近居」。
お互いに近くに居るという安心感を得ながら、それぞれの生活ペースやプライバシーを守ることができます。
なかでも今回は「マンション内近居」という新しい暮らし方に注目してみましょう。
近居する世帯が増加している
近居とは徒歩で往復できる程度の距離に、それぞれの住まいを構えること。
いわゆる「スープの冷めない距離」と呼ばれる近すぎない・遠すぎない適度な距離感に暮らすことで、気軽に交流しながら、お互いのプライバシーを尊重した暮らしを送ることができます。
国土交通省の調査では、子育て世代にあたる30〜40代では、親世帯との近居を理想の住み方と回答した人の割合はじつに4割以上。
同居よりも近居が理想的と考えている人が多いことがわかりました。
また、実際に近居する世帯は増えています。
高齢者世帯のうち子世帯が片道15分未満の場所に住んでいる割合は、2008年の時点で26.5%でしたが、2013年には28%と増加傾向です。
最近増えている、マンション内近居とは
なかでも近年注目を集めている近居のスタイルが「マンション内近居」です。
マンション内近居とは、同じマンションの建物内あるいは同一敷地内の別棟にお互いの住まいを構える暮らし方。親世帯・子世帯のほか兄弟姉妹の世帯が近居するケースもあります。
マンション内近居のきっかけは?
マンション内近居のきっかけはさまざまですが、親世帯の高齢化が理由となることが多いです。
年齢とともに階段の上り降りが負担となってきて、一戸建てからフラットなフロアのマンションに住み替えるケースも多く聞かれます。その際、子世帯が住むマンションの設備や周辺環境を気に入り、同じ建物内の物件を購入することも多いようです。
マンション近居は100戸以上の大規模マンションに多い傾向があります。
世帯数の多い大規模マンションなら、近居したいと考えたときに売出し中の物件を見つけやすいという側面もあるかもしれません。
マンション内近居のメリット
日常生活で助け合うことができる
マンション内近居の大きなメリットは、急な用事の時に子供を預ける、買い物を頼むなど、日常生活で助け合えること。病気や怪我などいざという出来事のときにもすぐに駆けつけられるでしょう。
鍵を預けておけば、マンションの防火設備点検の立ち会いや、宅配便の受け取り、旅行中のペットの世話なども頼めます。
孫の成長を見られる・見せられる
マンション内近居なら、孫の成長を間近に見る(見せる)ことができます。おじいちゃん・おばあちゃんの家に子供だけで出かけさせるのが心配な年齢の子供でも、同じマンション内なら安心です。
天気が悪い日も気軽に行き来ができる
お互いの住まいの間なら、雨の日や暑さ・寒さの厳しい日でも、天気を気にすることなく気軽に行き来できます。
プライバシーを守れる
親子関係は良好だけれど同居には抵抗がある…という人も多いのではないでしょうか。適度な距離感が保てるマンション内近居は、プライバシーを重視したい人におすすめです。
普段はお互いに干渉せずに生活し、休日にエントランスで待ち合わせをして一緒に買物や食事に出かける、といった暮らし方もできます。
マンション内近居のデメリット
過干渉や依存される
気軽に交流できるマンション内近居ですが、距離の近さから「些細なことでも頼み事をされる」「干渉されすぎる(子育ての方針や生活習慣など)」といった不満を感じるケースもあるようです。
お互いの暮らしを尊重して適度な距離感を保つことが大切でしょう。
マンション内近居リノベーションのポイント
マンション内近居をきっかけに住まいをリノベーションするなら、親世帯と子世帯それぞれが過ごしやすい工夫を取り入れましょう。
バリアフリー化で安心できる住まいに
マンション内近居に合わせてリノベーションするなら、住まいのバリアフリー化がおすすめです。これから年齢を重ねていく親も、小さな子供も安心して過ごせます。
趣味を共有できる空間をつくる
シアタールーム・アトリエ・茶室など、親世帯と子世帯で趣味を共有できる空間をつくると、訪問が楽しくなります。
また、マンション内近居では両世帯の住まいが似た間取りになることが多いため、まったく違うデザインにすればお互いに気分転換できるでしょう。
近居で補助金が支給される自治体も
また、親世帯と子世帯の近居にあたり、補助金が支給される自治体もあります。
補助金を受けるための要件はそれぞれ異なり、窓口での申請が必要です。
詳細はお住まいの市区町村のウェブサイトでご確認ください。
近居で補助金が受けられる自治体の一例
・【千代田区】次世代育成住宅助成
・【新宿区】多世代近居同居助成
・【墨田区】三世代同居・近居住宅取得支援制度
・【北区】親元近居助成
まとめ
同居と別居の良いとこ取りができる、近居という暮らしかた。
お互いのプライバシーを守りながら、住まいを気軽に行き来できます。
近居にあわせてリノベーションするなら
・バリアフリー化
・共通の趣味の空間をつくる
といった、安心して楽しく過ごせる工夫を取り入れるのがおすすめです。
*マンションで近居をスタートした母娘さんにインタビューしました*
〈お客様インタビューvol.21「北欧の白い家」〉
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